7年で31人 大学のミスで教員免許取れなかった学生『佐賀新聞』2011年7月8日付

『佐賀新聞』2011年7月8日付

7年で31人 大学のミスで教員免許取れなかった学生

 佐賀大学100+ 件は7日、教員免許取得に必要な単位を満たしていたのに、大学側のミスで免許を取れなかった卒業生が2010年度までの7年間に31人いたと発表した。このうち今年3月卒業の3人は、都道府県の教員採用試験に合格していたが、大学で免許が取れなかったため採用直前の3月に内定取り消しになった。大学側は対象者全員に連絡を取り、謝罪するとともに必要な人には免許取得の手続きをすることを伝えた。

 ミスは、佐賀大学が独自に定めた教員免許取得の単位基準が法令より厳しいのを、大学側が教授らに学内周知せず、学生への適切な履修指導もしていなかったのが原因。文科省は「多くの大学で独自色を出したり学力を確保したりするため、免許取得の要件を厳しく設定しているが、今回のようなケースは聞いたことがない」と話している。

 問題が発覚したのは、昨年度の東京都の教員採用試験合格者で高校教員免許が取れず不採用になった理工学部数理科学科の卒業生の保護者から、今年6月上旬に大学に寄せられた指摘。

 佐賀大では基準を変更した2000年度に入学、03年度以降に卒業した人を対象に、7年分をさかのぼって内部調査。この卒業生を含む同学部の3人が3月、同様の理由で東京都の教員採用の内定取り消しになっていたほか、これまでに計31人が免許を取得できなかったことが判明した。

 会見で瀬口昌洋副学長は「(教員免許取得の)基準が不適切で教職員も十分理解しておらず、残念な結果を起こしてしまった。申し訳ない」と謝罪。内定取り消しになった3人のうち2人は今年も教員採用試験を受験し、もう1人は教員以外に進路変更しており、瀬口副学長は「3人の今後の進路について誠実に対応したい」と話した。

 また、内部調査の結果、ほかの卒業生については「内定取り消しなど大きな不利益はなかった」と結論づけた。大学100+ 件は9月までに法令に沿った免許取得の基準に変更する。

 

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