【声明】公務員賃金最大10%引き下げの閣議決定は憲法違反であり、給与法案の廃案を要求する 2011年6月13日 全国大学高専教職員組合中央執行委員会

【声明】

 公務員賃金最大10%引き下げの閣議決定は憲法違反であり、給与法案の廃案を要求する

                            2011年6月13日 全国大学高専教職員組合中央執行委員会
 

 政府は6月3日の閣議において、国家公務員の給与を5%~10%、3年間引き下げを決定し、給与法「改正」案として国会に提出しました。

 私たちは、給与法「改正」案の廃案を要求するものです。

 そもそも政府は、国民と勤労者の権利を法によって保護すべき立場にありますが、今回の賃金引き下げ決定は、その政府の役割を自ら否定するものです。

 政府は、国家公務員の労働基本権を剥奪した「代償措置」が人事院勧告制度であるとしてきました。その人事院勧告制度によらず、国家公務員組合と国家公務員の合意を得ず引き下げ決定をしたことは、何重にも公務員の権利を侵害する憲法違反の暴挙です。

 また、公務員と直接的影響を受ける勤労者の生活を破壊するものです。毎月の賃金を5%~10%引き下げることは、年収にして30万円~100万円が減少することになります。震災復興を含む公務・公共的な仕事につく職員は、この賃金引き下げにより住宅取得や子供の教育などの生活設計が大きく狂い、将来への希望さえ奪うことになりかねません。

閣議決定では、国立大学を含む独立行政法人の役職員給与について、「法人の自律的・自主的な労使関係の中で、国家公務員の給与見直しの動向を見つつ、必要な措置を講ずるよう要請する」としています。

 大学、高専等の職場では、「震災復興のためなら自分たちの賃金が下がるのもやむを得ないのではないか」という疑問の声もあります。しかし、賃金引き下げは、震災復興にとって悪影響をもたらすものです。

 第1に、国の財政難を理由に、復興財源の捻出を公務員労働者や大学、高専等の法人のみに強いることは許されないことであり、何ら財政問題の解決にならないばかりか、国全体の経済にマイナス効果となります。国や自治体などでの賃金引き下げは、民間賃金も引き下げる役割を果たし、それにより民間消費支出を減少させ景気後退を招き、国の財政と震災復興に逆効果となるものです。

 第2に、今回の東日本大震災の復旧・復興において、高等教育機関の果たす役割は、以前にも増して大きくなっています。すなわち、大学の教職員がもてる専門的知見や技能を動員して、さまざまな形での被災地の救援活動に従事するとともに、各自の専門領域から、復旧・復興政策の立案に当たって数多くの緊急提言を行なっています。こうした状況のなかで、短期的な財政需要のみから、高等教育機関教職員の研究教育条件、労働条件を悪化させることは、研究教育の基盤を劣化させることにつながりかねません。

 第3に、国立大学や国立高専職員は組織の法人化により非公務員となり、労働基本権が保障されています。国からの財政支出があるからといって、政府が賃金を決めるものではありません。労使の団体交渉に基づき両者の合意により賃金が決まるものです。また、国立大学等は法人化以降、職員の賃金引き下げと人員削減により人件費は10%以上削減されています。国が設定した人件費5%削減の目標を大きく超過達成しています。これ以上の人件費削減を進める財政的な理由はありません。

 私たちは、国と同様の提案がなされれば道理なき賃下げとして徹底して闘うことを表明するものです。  

 

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