東北大が「片平」一部売却を断念 新キャンパス見直し『河北新報』2011年06月02日付

『河北新報』2011年06月02日付

東北大が「片平」一部売却を断念 新キャンパス見直し

 東北大が、学校法人東北学院と売買交渉を進めていた仙台市青葉区片平2丁目の片 平キャンパスの土地の一部について、売却を断念する方針を固めたことが1日、分かった。近く正式決定する。関係者によると、地価低迷に加え、東日本大震災 で大学全体の損害が多額に上り、青葉山新キャンパスの計画を一部見直す必要が出てきたことに伴う措置だという。

 東北大が売却を断念したのは、片平キャンパスの南側エリア。面積は5.5ヘクタールで、電気通信研究所がある。

 東北大は同研究所を新キャンパスに移転し、跡地の売却益を移転費用に充てる計画だった。売却断念で、同研究所は現在地で存続する。

 東北大関係者によると、新キャンパスの整備方針を策定した2005年に比べて地価が大幅に下落した。現状では同研究所の移転費用が土地の売却益を上回り、大幅な赤字となる見通しだという。

 加えて、震災で大学の研究施設28棟や実験機器約7000台が損壊。4月中旬時点で被害額は770億円に上り、復旧に多額の費用がかかることも影響した。東北大関係者は「震災で財務上の緊急対応が必要な状況となり、新キャンパスの計画を見直した」と話す。

 同研究所の土地は、隣接する東北学院が取得の意向を示し、両者が交渉を進めてきた。東北大は既に、東北学院側に売却中止の考えを伝えた。

 東北学院総務部は「売却しないという以上、申し入れについては受け入れ、交渉を断念せざるを得ない。土地を取得する前提でキャンパス整備を計画してきたが、今後再検討する必要がある」としている。

 東北大関係者によると、農学部・農学研究科がある雨宮キャンパスの売却と、農学部・農学研究科の新キャンパス移転の方針に変更はないという。

[青 葉山新キャンパス]仙台市青葉区荒巻のゴルフ場だった旧宮城県有地を整備、雨宮キャンパスの農学部・農学研究科(青葉区堤通雨宮町)などを移設する。 2008年に造成に着手し、11年4月の移転を予定していた。敷地面積は81万平方メートルで、事業費は二百数十億円の見込み。

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