『京都新聞』2011年5月26日付
滋賀県、中小企業振興条例制定へ3大学と連携
滋賀県は、来年度の中小企業振興条例制定に向け、滋賀、立命館、龍谷の3大学との産学官連携で調査・研究を始めた。中小企業の経営環境の把握や必要な政策の検討を進める。企業実態調査の指導も受け、成果を条例案に盛り込む。
同条例は、昨年11月議会で嘉田由紀子知事が2年後をめどに制定する方針を表明した。近く「中小企業の振興に関する研究会」を設置し、中小企業から直接、課題や要望の聞き取りを始める。
大学との連携は、経済学や中小企業論の専門家から意見を聞き、条例案の内容を拡充する狙い。滋賀大からは県職員を中心に政策研究の指導を受ける。このほど最初の研究会を開き、野本明成教授が中小企業のマーケティング戦略を解説した。
龍谷大は、今春から商工観光労働部の職員が始めた企業訪問について、主に調査方法の計画立案や結果の分析に協力する。
県は25日、立命館大と大津市の環びわ湖大学・地域コンソーシアムで研究会を開き、県内の市町や経済団体幹部との協議を始めた。県の担当者がこれまでの県議会での議論や京都府、宮城県、三重県などの先進条例を紹介し、連携を呼びかけた。
担当の肥塚浩教授は「中小企業を対象にするのか、産業政策にするのか。地域再生やまちづくりまで目指すのか。視点を明確にして議論する必要がある」と論点を挙げた。今後は県外を含めた研究者を招いて勉強会を開くほか、条例の方向性などを協議する。