筑波大発ベンチャーEDL 教育機関向け無償クラウド『茨城新聞』2011年5月13日付

『茨城新聞』2011年5月13日付

筑波大発ベンチャーEDL 教育機関向け無償クラウド

筑波大発ベンチャーのエデュケーションデザインラボ(EDL、つくば市二の宮、平塚知真子社長)は、IT(情報技術)関連の沖縄クロス・ヘッド(那覇市)、マンタ(岡山県新見市)の3社と共同で、国立情報学研究所(東京都千代田区)が無料提供するソフトウエア「ネットコモンズ」を活用した学校の情報化システムの無償提供を始めた。平塚社長は「学校内にサーバーがあると災害時に使用不能となる恐れがある。今回の震災を教訓に、クラウドで“目に見えない絆”を作ってもらえれば」としている。

災害時に電話が通じなくても、インターネットを利用して学校から保護者や生徒に正確な情報を素早く伝え、安否確認なども行えるようにする。全国の幼稚園や小中

学校、高校、大学などの教育機関が対象。

提供するシステムは、高度な情報処理ができるコンピューターシステムをネット経由で利用できる「クラウドコンピューティング」サービスの技術を使った。初期費用が安く、文書や写真などの記録をネット上に保存して、いつでも取り出して使える便利さが利点となっている。

自前のサーバーを持つ必要がないため、学内サーバーが被災して記録が消失したり機能停止に陥ったりする心配がなく、災害に強いと注目されている。

同社では「学校の情報化緊急推進キャンペーン リンク!スクールICT」(申し込みは8月末まで)と銘打ち、(1)ネットコモンズを搭載した外部サーバー(2)学校向けホームページ(HP)やグループウェアの初期画面構築(3)教育機関向けメール配信システム「Webスクールiネット」の三つを1セットにして2012年3月末まで無償で提供する。

ネットにつながる環境であれば、携帯電話からHPの更新・閲覧や掲示板への書き込み、メールの一斉配信などが可能で、利用者同士で情報を共有できる。学校行事や授業変更の通知、児童生徒の安否確認などに使える。

岩手県立総合教育センターによると、同県内では停電の影響でサーバーの機能が停止し、入学式開催の可否を知らせる連絡手段がなくなった例もあったという。同センターの担当者は「このシステムが使えれば連絡手段を確保できた」と話す。ネットコモンズは同研究所の新井紀子教授らが開発。05年に提供を始め、現在多くの学校が利用している。

 

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