震災で研究困難の東北大大学院生が長崎大に『長崎新聞』2011年5月11日付

『長崎新聞』2011年5月11日付

震災で研究困難の東北大大学院生が長崎大に

 「東北から遠く離れた長崎での支援に感謝したい」。東日本大震災の影響で研究を続けることが難しくなった東北大大学院の小野綾子さん(37)が、長崎大での研究活動をスタートさせた。

 地震が発生した3月11日。小野さんは仙台市青葉区にある大学院の研究室でリポートを執筆していた。立っていられないほどの強い揺れが5、6分間も続いた。研究室内はビーカーなどの実験器材やプリンターが床に落ちて壊れ、本や書類が散乱したが、幸いけがはなかった。

 仙台では、その後もひっきりなしに余震が続いた。「落ち着いた環境でデータの解析と論文執筆をしたい」。小野さんは以前、助言を受けたことがある長崎大の田山淳准教授を頼って、長崎大で研究ができないか打診。4月中旬、特別研究学生として長崎大大学院医歯薬学総合研究科への受け入れが決まった。

 小野さんは青森県出身。女子美術大(神奈川県)卒業後、東京芸術大大学院を修了。「宇宙飛行士になりたい」という夢をかなえるため、現在は東北大大学院医学系研究科に在籍し芸術とは畑違いの行動医学を専攻。人のストレス対策を研究している。

 長崎大での学費は免除。住居は長崎市内の教職員用宿舎を利用する。9日、「高校の修学旅行以来」という長崎に来た小野さん。慣れない土地での新生活だが、宇宙飛行士という夢に向かって新たな一歩を踏み出した。

 

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