東日本大震災:「福島第1原発事故が心配」相次ぐ留学中止 大学困惑 /新潟 『毎日新聞』2011年5月10日付

『毎日新聞』2011年5月10日付

東日本大震災:「福島第1原発事故が心配」相次ぐ留学中止 大学困惑 /新潟

 ◇情報発信、安全をPR

 東日本大震災の影響で、県内の大学で学ぶ予定だった外国人留学生が今春の入学を取りやめたり、延期するケースが相次いでいる。「福島第1原発事故が心配」というのが主な理由。大学側は新潟の安全性をPRする一方、「最終的に判断するのは留学生だから無理は言えない」と頭を悩ませる。

 約350人の留学生が学ぶ新潟大(新潟市)。4月から交換留学制度を利用して同大で学ぶ予定だった中国や韓国、ドイツなどの留学生53人のうち40人が、入学時期を10月にずらしたり、留学をキャンセルした。

 同大国際課によると、原発事故による放射能漏れを不安視する声が多いという。このため同大は、県内の大気中の放射線量のデータをメールで留学予定者に提供するなど情報提供を図ってきた。だが、相次ぐキャンセルに担当者は「決めるのは先方なので」と困惑気味だ。

 毎年50人前後の留学生を受け入れている長岡技術科学大(長岡市)でも、4月入学予定だったタイやメキシコの留学生3人がキャンセルした。同大は地震発生4日後の3月15日、キャンパスで原発などについて説明会を開催した。だが、在学中の留学生約290人のうち53人が日本を離れ、9人がまだ戻ってきていないという。

 約280人の留学生が学ぶ国際大(南魚沼市)。留学生の入学時期は9月のため、キャンセルこそなかったが、震災後、3分の2が関西方面に避難したり、一時帰国した。「留学生が帰国後に親が心配して母国に引き留めようとするケースが多い」(広報)といい、2人が戻らないままだ。【畠山哲郎】

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