貧困なら「大学まで無料化を」 小中高50人に調査 『沖縄タイムス』2011年4月17日付

『沖縄タイムス』2011年4月17日付

貧困なら「大学まで無料化を」 小中高50人に調査

 沖縄タイムス社は16日までに、子ども支援に取り組む国際NGOセーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(本部・東京都)、沖縄子ども研究会、沖縄弁護士会と共に、子どもたちの「貧困観」を調査した。子どもたちは貧困下に置かれると「いじめられる」「勉強したくてもできない」状況に追い込まれると考えており、平等に育つことができるよう「大学まで(かかるお金は)無料にしてほしい」などと提案した。同様の調査は国内にはあまり例がない。(嘉数よしの、安里真己、新垣綾子)

 調査は、「子どものことは子どもが一番よく知っている」という考えの下、小中高生50人から聞き取った。さまざまな子どもたちから広く意見を聞くため、本島中南部の児童館や塾、児童養護施設などの協力を得て、小学2年生から高校3年生までの児童・生徒を対象に2月中旬実施した。貧困家庭に育つ子の立場に立ち、「どんなときに困っているか」「自分が総理大臣だったらこの子のために何をするか」などを考えてもらった。

 子どもたちは、お金がかかるものとして「給食費や学用品」「電気、水道代」など日常生活に不可欠なものを挙げながら、それらが欠けていると「さみしい」「友達と遊びに行けない」「いろいろなことから逃れたい気持ちになる」と語った。夢を描けず、将来にも悪影響が出る、との意見もあった。

 解決策として「学校とか医療とか、全部無料にする」「お金がなくても努力すればやりとげられる社会にしたい」などと提案。自分たちができる努力として「人とつながりを持つことも大切。そしたら仕事も見つかる」という声もあった。

 セーブ・ザ・チルドレンは昨年7月からことし2月にかけて、関西でも調査を実施。集まった子どもの声を社会に発信して、政策などに反映したい考えだ。

[ことば]

 子どもの貧困 2009年10月に厚生労働省が発表した18歳未満の子どもの貧困率は14・2%で、およそ7人に1人の割合。貧困家庭に育つことで、子ども期の健康や成長、学び・進学が十分に保障されないだけでなく、大人になってからの健康や収入、人間関係などにも悪影響を及ぼす「貧困の連鎖」が指摘されている。連鎖を断つためには、より低年齢からの対策が必要といわれている。

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