『北海道新聞』2011年4月2日付
道内への留学 中止相次ぐ 原発に不安 大学側「安全」訴え
東日本大震災の影響で、4月から道内の大学に留学予定だった学生のキャンセルや延期が相次いでいる。東京電力福島第1原発事故の影響を心配する学生が多いという。留学を切り上げて途中帰国する学生もいる。大学側は「北海道は安全」と情報提供に力を入れている。
道内で最も留学生が多い北大では、4月に入学予定の留学生220人のうち、3人が取りやめ、5人が入学を10月に延期した。
室蘭工大でも韓国と中国からの学生4人が留学を中止した。「家族が原発事故の影響を心配しているのでやめる、というケースが多い」と同大国際交流センター。延期を申し出ていたり、まだ連絡が取れない学生も6人ほどいる。留学中の学生も約10人が震災後に一時帰国した。
27人が入学予定だった小樽商科大は、フランスの交換留学生1人が取りやめ。在籍中の留学生20人も帰国しており、「いつ戻ってくるかは不明」という。
札幌学院大(江別市)でも入学予定の12人のうち、原発事故を理由に3人が中止、2人が延期した。
道内の国立大関係者は「海外では日本全体が危ないといった報道も見られる。そうした情報しか得ていない学生は不安も大きい」と指摘。大学100+ 件側は対応策として、震災後の道内の状況を学生にメールで伝えたり、関連情報を多言語で伝えるサイトを紹介するなどし、「北海道は安全」と積極的に情報提供している。
文部科学省も、留学生を多く受け入れている全国の大学100+ 件を対象に実態調査に乗り出している。日本学生支援機構(東京)広報課は「九州でもキャンセルが出ており、全国的な傾向」としたうえで、「被災した東北や関東でも、5月から授業を再開する大学が多い。そうなれば、全国的な状況は落ち着くのではないか」とみている。