東海の大学、留学延期申し出相次ぐ 「日本全体危ない」と誤解?『中日新聞』2011年4月2日付

『中日新聞』2011年4月2日付

東海の大学、留学延期申し出相次ぐ 「日本全体危ない」と誤解?

 東日本大震災の被害や福島第1原発の事故を受け、東海地方の大学に4月から留学する予定だった外国人学生が、留学を取りやめたり延期を申し出るケースが相次いでいる。派遣する大学や保護者が「日本全体が危ない」と誤解している影響が大きいという。原発事故が完全に収束するまで海外の不安は消えないようだ。

 三重大では、4月入学の交換留学生55人のうち韓国人4人が留学を辞退したほか、中国、スペイン、フランスなどの38人が「しばらく延期したい」と申し出てきた。理由は「自国の政府から渡航中止の指示が出ている」「親が津波や放射能を心配している」など、ほぼ同じだ。

 三重大の担当者は「東海地方は現時点で地震や津波、放射能の影響はないと説明しているが、世界地図で見れば日本は小さな島国。すべて危険に思えるようだ」と嘆く。

 名古屋工業大も韓国人とフランス人各2人が「留学を中止する」と連絡してきた。岐阜大は韓国人1人が留学中止、オーストラリア人1人が入学を10月に延期する。

 留学先を東北・関東の大学から東海地方に変える動きもある。名古屋外国語大には、英国の大学から「関東の大学に留学予定の学生を預かってほしい」と依頼が来た。三重大には、東日本の大学に留学する予定だったフランス人2人が入学を申し込んでいる。ほかに、東海地方の大学に既に留学していたが震災発生後に緊急帰国し、新学期になっても戻ってこない学生も多数いる。

 背景には、日本政府の海外への情報発信力が弱く、情報不足に陥っている面があるようだ。

 南山大はホームページで「名古屋は福島第1原発から400キロ離れており、現段階で被害の発生は予想されない」とアピール。名古屋大は3月に設けた「大震災情報集約拠点」で、来日した留学生向けに震災の正確な情報を提供している。ただ、ある大学の担当者は「日本政府の情報が本当に正しいのかという不安もあるようだ。私たちも『日本は絶対に安全』と言い切れない」と話す。

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