MSN産経ニュース配信記事2011年3月28日付
課題少なくない新設大学 入学者数など公開義務付け
昨年の大学設置基準の改正によって、今年4月からこれまで以上に、各大学に情報公開が義務付けられることになりました。特に、情報の乏しい新設大学や、学部の内容・実績を知るには、役に立つでしょう。というのも、新設大学・学部の中には、幾つかの課題を抱えているところも少なくないからです。大学の情報公開の推進を機会に、保護者の方々も、積極的に大学情報などを調べてみてはいかがでしょうか。
2007(平成19)年度以降に新設された大学や学部などの定員充足率や教育環境などを調べた、文部科学省の2010(同22)年度「設置計画履行状況等調査 」(アフターケア)の結果によると、537件、202校の大学・短大で、入学定員の管理に問題があると指摘されました。その大半は、「定員割れ」が続いているというものです。また、一部では逆に、定員以上の学生を入学させており、教育環境の質に問題があるという指摘を受けた大学もありました。
大幅な定員割れや定員超過は、好ましいことではありません。しかし、実際にはこのような情報が、保護者や志望者に十分に伝えられているとは言えませんでした。というのも、あまり都合の良くない情報は一般に公開しないという大学があったからです。
4月から実施される大学の情報公開では、「入学者に関する受入方針及び入学者の数、収容定員及び在学する学生の数、卒業又は修了した者の数並びに進学者数及び就職者数その他進学及び就職等の状況に関すること」を、大学のウェブサイトなどで公開することが義務付けられます。公開されるこれらの情報を詳しく見ていけば、たとえば、定員に対してどの程度の学生が実際に入学しているのか、どの程度の学生が中退や留年をしているのか、などがわかります。逆に言えば、これらの数字が簡単に割り出せないような情報の公開の仕方をしている大学などは、「問題あり」と見ることもできるでしょう。
また、文科省のアフターケアでは、入学定員の管理以外で24件、21校の大学・短大が「留意事項」を付けられ、専任教員が不足している、施設・整備が不十分なまま対応が進んでいない、教育課程の編成に問題がある、などの指摘を受けています。これらについても4月から、「教員組織、教員の数並びに各教員が有する学位及び業績に関すること」「校地、校舎等の施設及び設備その他の学生の教育研究環境に関すること」などが、やはり情報公開を義務付けられることになっています。
情報が不足しがちな新設大学や新設学部などは、イメージが先行して、保護者や志望者には十分な情報がないのが悩みの種となっていますが、新たな情報公開の義務付けによって大学がどのように取り組むかが、注目されるところです。
情報公開の義務付けは、新設大学などだけでなく、すべての大学・短大に適用されます。卒業生の進路のほか、「大学が行う学生の修学、進路選択及び心身の健康等に係る支援」なども情報公開の対象になっていますので、大学選びの参考資料となることでしょう。
(提供:Benesse教育情報サイト)