国立大の学長「教育は性善説」「知識偏重原因」 MSN産経ニュース配信記事2011年3月3日付

MSN産経ニュース配信記事2011年3月3日付

国立大の学長「教育は性善説」「知識偏重原因」

 京都大など4大学の入試問題が試験時間中にインターネットの質問サイト「ヤフー知恵袋」に投稿された問題で、再発防止策を迫られている各大学。一方、東京都内で2日開かれた会合に出席の国立大学長からは「若者を信じたい」「性善説に立ちたい」との声が聞かれた。「学問の府・良識の府」トップに、悩みや思いを尋ねた。

 「大学に入ろうという若者たちを信じてあげることも大切だ」。九州大の有川節夫学長は、不正防止策として試験会場での巡回方法の工夫などを挙げながら語った。

 名古屋大の浜口道成学長も「日本の文化は性善説を基本にして、子供を信じて育てるのが基本」と考える。金属探知機の導入などを検討する向きもあるが、「苦しいところだ」と漏らした。

 「入試という入り口で対策が過度になると大学への信頼もなくなってしまう。相互不信のシステムをつくってはいけない」

 「金属探知機は受験生にとって気持ちのいいものではないだろう」という琉球大の岩政輝男学長は「プレッシャーをなるべく掛けたくない。受験生を一番に考えることが大事」と強調。「性悪説に立ってやることが本当にいいことなのか。われわれは若者が犯罪めいたことを起こすとは考えたくない」と受験生を擁護した。

 広島大の浅原利正学長は「今回の問題は受験生との信頼関係の問題でもある。大学は入試だけではない。卒業するまで学問をやっていく場だ」と言い、「結局は対策ではなくて道徳教育ではないか。悪いことはしない、不正をしないという当たり前のことを確認する必要がある」と話した。

 入試の在り方を見直す意見も。滋賀大の佐和隆光学長は「知識詰め込み型の入試を続ける限り、機器の発達にカンニング対策は追いつかないだろう。これを機に見直すべきだ」。福井大の福田優学長も「在り方、形式がこのままでいいのかというところまで考えないといけない」と述べた。

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