『東京新聞』2011年2月18日付
<’11 予算案 大田区>小中理科授業 改善へ東工大と連携 指導法見直しや教材づくり
理科好きな子どもを増やそうと、大田区は新年度、近隣の目黒区大岡山にキャンパスがある東京工業大学と連携し、小中学生向けの理科の授業の改善に取り組む。将来的には、ものづくりの街・大田を担う優れた技術者、科学者の輩出を目指す。十七日発表した新年度予算案に千二百四十七万円を盛り込んだ。
大田区と東工大は二○○七年、教育など各分野で連携する協定を結び、○八年度からは同大近くの区立清水窪小学校を拠点に理科教育の推進に取り組んでいる。
新年度はさらに、教員の指導法を見直し、分かりやすい教材・プログラムの開発を行うなど、授業の改善に取り組む。区側からは区立小中学校の教員十五人、同大側からは大学院生が授業の一環として参加する。二学期からは実際に各小中学校で、改善を実践する。
区教委は「小学校の先生は教育の専門家だが、理科については必ずしも専門家ではない。日本を代表する工業大学の大学院生の方の助言は大変心強い」と話す。
また、地域の科学・技術分野の専門家に「おおた理科博士」を指定して、小中学生の理科に関する質問にファクスや手紙で答えてもらう取り組みも始める。
区教委は「区立中出身で、ノーベル賞(医学・生理学賞)を受賞した利根川進博士に続いてほしい」と意気込む。
松原忠義区長は「東工大や地域の方の力を借りて、サイエンスコミュニケーションの輪を広げ、理科好きな人材を育成したい」と話している。 (増田恵美子)