『毎日新聞』2010年12月24日付
11年度予算案:「埋蔵金頼み」の予算編成を浮き彫りに
政府は11年度当初予算案に特別会計の積立金や剰余金など「埋蔵金」も含めて約7.2兆円の税外収入を計上した。10年度の税外収入(同10.6兆円)に比べると3割以上減少したが、税収が低迷する中、「埋蔵金頼み」の予算編成を浮き彫りにした。しかし、今回、外国為替資金特会(外為特会)で将来発生する見込みの剰余金を先食いしたことに象徴されるように、埋蔵金など税外収入に頼った予算の帳尻合わせは限界に近づいている。
11年度予算案の税外収入は、外為特会から10年度の剰余金2.7兆円を繰り入れたほか、11年度に見込まれる同特会の剰余金の一部を前倒しして2300億円を計上した。また、財政投融資特会からは積立金と剰余金で計1.1兆円を取り崩す。ただ、これでは足りないため、事業仕分けで国庫返納の判定を受けた鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄建機構)の利益剰余金1.2兆円を国庫返納させて、税外収入全体で7.2兆円をどうにか確保したのが実態だ。
財務省によると、特例措置によって特別会計から税外収入に繰り入れるお金を「埋蔵金」とみなした場合、11年度は2.7兆円しかなく、10年度(6.3兆円)から大幅に減った。これまでの活用で金利変動などに備えて積み立てられた財投特会の積立金がほぼ底をつき、11年度予算では剰余金と合わせた額が10年度に比べ約3.7兆円減ったためだ。
税収が低迷する中、特会に眠る「埋蔵金」の存在がクローズアップされ始めたのは07年ごろ。財投特会の積立金などが積極的に予算に活用された結果、07年度末時点では200兆円を超えていた特会全体の積立金は、09年度末で約182兆円まで減少。残っているものは将来の年金給付のための積立金などが大半で、12年度以降、歳出の穴埋めに使うための埋蔵金を掘り出す余地は乏しいのが実情だ。
実際、基礎年金の国庫負担50%維持のために1.2兆円の財源を生み出した鉄建機構の剰余金は「最後の埋蔵金」(財務省幹部)と呼ばれている。