論点2010ひろしま:2期目の続投が決まった、浅原利正・広島大学長『毎日新聞』広島版2010年12月20日付

『毎日新聞』広島版2010年12月20日付

論点2010ひろしま:2期目の続投が決まった、浅原利正・広島大学長

◇「5年、10年後に成果を」

 来春の任期満了に伴う広島大の学長選で、浅原利正学長(64)の再選が、先月25日に決まった。グローバルな人材の育成、大学の管理・運営の見直しなど1期目からの取り組みを継続し、「5年、10年後に成果を出したい」と意気込む。2期目(11年4月1日から2年)にかける抱負を聞いた。【聞き手・星大樹】

 ◇グローバルな人材を育成

 --2期目に挑戦した理由と今後の課題について。

 ◆就任から3年半が過ぎたが、取り組みが十分でないと反省し、中途半端で辞められないとの思いがあった。全てにもっと高いレベルを目指したい。具体的には、教養教育、教育の質の保証、教育・研究のグローバル化への対応、大学の管理・運営の見直しなどをやっていきたい。5年後、10年後に成果が出てくるものに取り組むべきだと思う。

 --個々の課題について具体的に。

 ◆教養教育の充実については、科学技術の進歩で専門性が深化するほど、人間性豊かな幅の広い社会人に育てる必要があり、教養教育がますます重要になってくると思う。継続的に見直したい。教育の質の保証では、人材育成がどういう形でなされたかチェックする必要があり、それには卒業生のフォローアップが一番。学生が働き始め、「(学生時代)いい教育を受けられた」と思えるか。10年以上かかるかも知れないが、始めなければ。

 --グローバル化への対応、管理・運営の見直しについては。

 ◆国際社会で活躍できるグローバルな人材の育成が必要。国際交流を進め、異文化に触れる機会を作らなければならない。今年から短期の海外研修を始めたが、希望者は多い。来年からプログラムを充実させ、年間100人くらいを送り出し、留学生の受け入れも取り入れたい。運営見直しでは、特に職員の意識改革。それぞれの責任を自覚し、自分で考え、アイデアを出して、教育・研究に関われる仕組みを作りたい。

 --研究支援、研究者支援のあり方は。

 ◆法人化して社会との連携が強まる中で、研究者の支援をしないと競争的資金が減る。それには、情報の共有が重要。「競争的資金獲得戦略室」を設け、必要なときに必要な情報を教員に流す。

 --グローバル化の一方、大学の地域貢献、地域交流が言われています。

 ◆広大は東広島市という地域に支えてもらっており、連携を強める必要がある。「知りたければここに来て」ではなく、地域に出て行って「こういうことをしている」と言わなければならない。地域に課題を出してもらい、大学でふさわしい研究があれば、一緒にやろうという形で地域貢献研究をしている。今後も続けたい。

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 ■人物略歴
 ◇あさはら・としまさ
1946年生まれ。医学博士。広島大大学院医歯薬学総合研究科教授、同大病院長などを歴任し、07年5月に同大学長に就任。

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