高知大学長任命「適法」 高知地裁  票すり替え疑いは指摘『高知新聞』2010年12月11日付

『高知新聞』2010年12月11日付

高知大学長任命「適法」 高知地裁  票すり替え疑いは指摘 

 2008年4月、文部科学省が高知大学の学長に相良祐輔氏を任命したのは「違法」として、同大の元教授らが国に任命取り消しを求めている訴訟の判決が10日、高知地裁であった。小池明善裁判長は、学内意向投票の過程で「票のすり替えのあった疑いは払拭(ふっしょく)できない」としつつも、「学長任命の取り消しに当たるような違法は認められない」とし、相良氏の対立候補だった高橋正征氏の訴えを棄却。同じく原告に名を連ねていた当時の学長選考会議委員、根小田渡氏については「原告適格を有しない」として訴えを却下した。

 問題となった学長選考は、同大が国立大学法人になって初めて実施。事前の学内意向投票で、いったんは高橋氏が相良氏に41票差をつけた開票結果が確定していたが、作業終了後、事務室で票を整理していた職員が「相良氏の20票が高橋氏の投票箱に混入していた」と指摘した。この後、投票管理委員が再び集まって数えると、両氏の差は1票になり、この2通りの票数を参考にした学長選考会議の手続きの正当性が争点となっていた。

 

 小池裁判長は、意向投票について、「(いったん集計が終わった後に)集計箱の管理の依頼さえ受けていない職員が投票用紙の枚数を確認したのは不可解」「開票終了後に票のすり替え行為があった疑いは払拭できない」としつつも、集計過程でのミスの可能性もあるとし、「すり替えがあったとまでは断定できない」と指摘。

 選考会議が2通りの票を基に学長を選考したことに、「(国立大学法人法における学内意向投票は)学長選考の1つの考慮要素にすぎず、各選考委員がこれをどの程度考慮すべきかは裁量に委ねられている」「学長選考に至る一連の手続きの公正を害したと認めることはできない」などと結論付けた。

 判決後に会見した高橋氏は「国立大学法人法における学長選考会議は、メンバーの多くを学長が決め、大学運営が学長の独裁で進んでしまう恐れがある。法の弱点を訴訟で明らかにできなかったことは残念」と話した。

 また、国の代理人は「判決は当然」とした上で、「国立大学法人の学長選考に当たっては、あらぬ疑念を抱かれないよう、万全の手続きで臨むよう促したい」としている。

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