学長選考会議の「決定」を白紙に戻し、学内外の世論が一致できる民主的・透明な選考方法を考えることを強く要求する 2010年12月1日山形大学職員組合執行委員会

山大職組情報号外12/1

 山形大学職員組合執行委員会は、下記の声明を学内外の選考委員および、マスコミ各方面にお送りしました。

◆◆◆ 学長選考会議の「決定」を白紙に戻し、学内外の世論が一致できる民主的・透明な選考方法を考えることを強く要求する  ◆◆◆

    2010年12月1日

                     山形大学職員組合執行委員会

1)学長選考会議:教職員の意向聴取を行なわないと「決定」

 11月22日(月)に開催された学長選考会議において、次期学長選考に当たって「学内意向聴取投票」は行なわないという「決定」を賛成7票・反対5票という僅差で行なった(投票は有馬学長選考会議議長と当日欠席した黒田昌裕氏〈学外委員〉を除く12名が行なった)。

 「学内意向聴取投票」を行なわないことに賛成したのは、参加した学外委員全員5人と学内委員では医学部長及び病院長の2名である。

 職員組合は、これまでも意向聴取の実施、票数の公表、投票の結果を受けての決定などを要求して学長選考会議委員にその意思を伝えてきた。また、前回の学長選考会議(6月)の状況を見て、今回(11月)の会議に向けて学外委員に対して職組委員長名の要請も行なってきた。この要請の内容は、学内の意向聴取は最低限行なうべきである点に重点をおいたものであった。6月の学長選考会議の議事録を見る限り、選考委員の半数を占める学外委員においても意向聴取を行なっても良いという見解をもつ委員が複数存在していた。それにも拘わらず、今回の選考会議では先に述べたような結果となった。この背後にどういう力が働いたのか、選考委員の見解の変化は学長選考会議のあり方に大きな疑念を抱かせるものである。

 職員組合は、学内意向聴取を行なうことを否定した選考委員に対し猛省を促すものである。同時に、学長選考会議に対して、今回の決定を白紙に戻し、学内意向聴取の実施を前提として、学内外の世論が一致できる選考方法を模索することを強く求めるものである。

2)なにが問題なのか

 学長選考会議は、いうまでもなく国立大学法人山形大学の学長を選考するものであるが、これは国立大学法人の学長とそれによって設置された山形大学の学長を二重に選考するという性格を有するものである。

 国立大学法人法には、教授会の規定なども存在しない。しかし、実際には学校教育法に基づいた教授会が存在し、学内の運営をはじめ人事に関して採用・昇任等を実質的に決定し、同時に学問の自由に基づいた教授の自由等、大学の自治に関する重要な役割を担っている。学外の委員といえども、このような大学の自治に関して十分な認識を持って学長選考に対応すべきである。

 学外委員の参加によって「地域に開かれた大学」を標榜するのが国立大学法人法の「建前」であったが、学長によって任命された学外委員が「地域」を代表するものとも言えず、また、大学の自治と教育問題に関する十分な配慮を行なわない場合、この制度は学長による学長選考制度の壟断(ろうだん)に結実する恐れがあり、今回の山形大学における事実経過はこの危惧が現実のものになったことを示している。

 大学の自治を前提にして学長選考の方法を考えれば、教授会構成員及び職員による意向聴取などは、ごく基本的・常識的なものである。これは、大学内の世論のみでなく、住民・県民においても「社会常識」の部類であろう。

3)今後の対応と職員組合の運動

 学長選考会議は今後の手続きについても概ね以下のように決定をしたとされる。�各学部及び経営協議会から、それぞれ2名以内の候補者を推薦する(手続きは学部等に任せる)、�学長選考会議において、書類選考に基づき、候補者を3〜5名に絞る、�各学部長は、絞り込まれた候補者について学部に持ち帰り1名の推薦を決める、�学長選考会議で、最終的に候補者1名を選出する。

 このような「身勝手な」決定にたいし、多くの教職員から同意が得られると考えるのは大きな間違いであり思い上がりである。学長選考会議は、その規程において、三分の二以上の委員の参加(14名であるから10名以上)がなければ会議を開くことも決定することもできない。このような運営は、学内の意見も十分に聞き、大学の構成員が納得できる内容の決定を行なうという民主的姿勢を前提とするものと考えられる。 多数決で一方的に決定するのではなく、十分な議論と一致できる問題を拡大しつつ、慎重に決定することが求められていると解されるものである。

 職員組合は、いたずらに対決を求める立場ではなく、学内外の世論の一致する点を慎重に議論しながら、選考方法を決定すべきであると考える。それには、学長選考会議が今回の決定をいったん白紙に戻し、意向聴取の実施と折り合いをつけられる選考方法を英知を結集して追求すべきである。職員組合は、今後とも学内外の世論を喚起しつつ運動を進め、大学の運営の一部のものによる専断をゆるさず、真に地域に開かれた大学をつくるために奮闘をするものである。

 まだ学長選考規程の詳細が「改訂」されたわけではなく、現時点では前回の規程が生きている。今後とも可能な限り学長選考の民主的な方法を求め、組合員をはじめ全ての大学構成員、更には地域住民・県民と広く団結をして、事態の打開にむけて運動を強めて行く決意を表明するものである。

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【資料】現在の選考委員は、以下の方々です。
<学外委員> 
�有馬朗人氏   公立大学法人静岡文化芸術大学理事長(2010年4月1日より就任)
              財団法人科学技術振興財団会長・科学技術館館長(旧肩書)
�寒河江浩二  山形新聞社取締役編集局長
�町田 睿氏  北都銀行取締役会長
�吉本高志氏  独立行政法人大学入試センター理事長
�黒田昌裕氏  東北公益文科大学長
�高橋まゆみ氏 南陽市教育委員長 
�大山正征氏  株式会社ユアテック社長  

<学内委員>
�渡邊洋一氏  人文学部長     
�那須稔雄氏  地域教育文化学部長 
�櫻井敬久氏  理学部長      
�山下英俊氏  医学部長      
�大場好弘氏  工学部長
�安田弘法氏  農学部長      
�久保田功氏  附属病院長    
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