(緊急声明)地域再生の芽を摘む事業仕分け~大学教育に関する事業仕分け(平成22 年11 月18 日)の結果について~平成22 年11 月20 日公立大学協会会長 矢田俊文(北九州市立大学長)

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平成22 年11 月20 日

(緊急声明)地域再生の芽を摘む事業仕分け
~大学教育に関する事業仕分け(平成22 年11 月18 日)の結果について~

公立大学協会
会長 矢田俊文(北九州市立大学長)

公立大学は、崩壊の危機に直面する地域社会の切実な要求に応えるために、地方財政が厳しい中にありながらも地方自治体の強い意思により設置され、今やその数は80 大学となっています。公立大学は、地域の活性化にはっきりとした存在感を示しています。

また、地域の産業構造、人口構造の変化に伴う人材需要、求められる人材像の変貌に機敏に対応するために、公立大学は着実に大学改革を進めていますが、その原動力の一つが、競争的な環境下で大学のインセンティブを高めてきた教育GP 等の事業であり、そこには漫然とした経常費補助にはない高い費用対効果が存在します。

例:( )内はGP 事業等の採択プログラム

●福岡県立大学:高齢化が日本の最先端で進む旧産炭地・田川市で、医療・福祉をはじめとする社会基盤の崩壊の課題に取り組む(H20~「不登校・ひきこもりサポートセンター」、H21~「看護系大学から発信するケアリング・アイランド九州沖縄構想」、H22~「就業力向上を目指す社会貢献支援プログラム」)。

●公立はこだて未来大学:基幹産業の水産業の衰退に苦しむ函館市と渡島管内4町が設置。新しい学びのシステム作りを地域産業と一体となって行なう(H18~「プロジェクト学習」)。

●下関市立大学:「豊かな地域コミュニティの創成に貢献すること」を目的に下関市により設置。(H22~「マイスター制と共創力教育による就業力育成」)

●福島県立医科大学:福島県で唯一の医学部として、臨床実習の改善、地域の医療崩壊に取り組む(H22~「能動的学習態度を醸成する臨床実習システム」)。

特に、各大学において現に継続実施されている事業まで廃止・縮減することは、これまでの大学の努力や投じられた税を無駄にするものに他なりません。公立大学に対する運営費交付金等の国の支援措置は無く、この事業と重複する予算は皆無です。

今回の仕分けの議論の中に、全国の中小都市を中心に展開し、地域再生のために世界に通用する人材育成を進める公立大学への認識が欠落しております。まさに、都市圏の大規模大学を念頭においた中央目線での議論ではないでしょうか。地域再生の芽を摘み、地域の崩壊の加速に手を貸す今回の仕分けの結果は、再考されるべきだと考えます。

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