大学改革シンポジウム:教員養成6年制テーマに議論--名古屋『毎日新聞』愛知版2010年11月30日付

『毎日新聞』愛知版2010年11月30日付

大学改革シンポジウム:教員養成6年制テーマに議論--名古屋

 愛知教育大と国立大学協会主催の大学改革シンポジウム「大学院での教員養成をどうとらえるか」が名古屋市内で開かれた。教員の資質向上を目的に打ち出された教員養成の6年制がテーマ。文部科学省の担当者と教育大学の研究者らが今後の教師像や課題などを議論し、教員養成大学や小中高校の教員ら約70人が耳を傾けた。

 文科省の渡辺倫子・教員養成企画室長が「教員養成への期待」と題して講演。公立小中校の現状について「教員の大量定年退職時代を迎え、経験の浅い教員が急増する。学校の小規模化や教員の多忙化で、校内での人材養成が一段と困難になりそう。校長の総合的な学校経営力も不足傾向」と指摘した。

 パネルディスカッションでは教員養成大の教授ら3人とコーディネーターの愛教大教授2人が討論した。梅沢収・静岡大教育学部教授は「教師の専門職性の保障や職能成長の支援のため大学で何ができるか、学校や教育委との連携を基本に改革すべきだ」と訴えた。佐久間亜紀・上越教育大大学院准教授は「教員志願者は減少傾向。教員養成の修士義務化は志願者をさらに減少させないか。志願者の質的低下を防ぎ、修士に見合う待遇と就職先をどう確保するかが課題。現状は修士と学士の教員の給与差が少な過ぎる」と述べた。

 松田正久・愛教大学長は「教員の専門職化や高度化は避けられないが、教員養成6年制には課題も多い。優秀な教員志望の学生を確保するため、国による授業料免除や奨学金の充実などが不可欠だ」と強調した。

 会場からは「大学院を出た教員に『大学院を出て損した』とか『大学院修了を同僚に知られたくない』といった思いもあるそうだが、そのようにしてはならない」などの意見が出た。【安間教雄】

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