筑波大と日立が協定、茨城県北地域の医師不足解消へ『日本経済新聞』2010年12月1日付

『日本経済新聞』2010年12月1日付

筑波大と日立が協定、茨城県北地域の医師不足解消へ

 筑波大学と日立製作所は30日、茨城県北地域の医師不足解消へ向けて協力することで協定を結んだ。日立製作所は2011年4月から同社が運営するひたちなか総合病院(ひたちなか市)に寄付講座を設置し、筑波大が全国から公募する教員格の医師5人を派遣。医学生を教育しつつ、地域医療を支援する。同社は他の県北2病院でも同様の取り組みを進める考え。

 寄付講座の名称は「地域医療・先端医工連携講座」で、日立製作所が3億7500万円を寄付する。講座の開設期間は来年4月1日から5年間の予定。筑波大はひたちなか総合病院を地域医療と臨床研究の拠点病院と位置付け、院内に「筑波大学付属病院ひたちなか社会連携教育研究センター(仮称)」を設ける。

 同センターには筑波大が今後新たに公募する内科医ら5人を教員として配置。医学生や研修医の教育・研修に活用する。総合病院と連携することで、地域に根ざした医師の育成や地域全体の医療支援につなげる。同社の日立総合病院(日立市)と多賀総合病院(同)でも検討していく。

 同日記者会見した筑波大の山田信博学長は「地域唯一の医師養成大学として、県北の医学的、社会的な連携体制を整備できる」と強調した。また日立製作所の県内病院を統括する茨城病院センタの岡裕爾理事も「地域医療を担う病院として、いっそうの社会貢献を進めたい」と話した。

 筑波大は総合病院の膨大な臨床研究のデータを教育に生かすことで、優秀な研修医の囲い込みにも役立つとみている。日立製作所は医師不足が進む県北地域での医療体制の強化を狙うとともに、同大と高齢化社会に対応した医療機器などの共同開発につなげたい考え。

 筑波大は08年から同様の教育拠点事業を進め、すでに茨城県立中央病院(笠間市)など県内の3病院に教員・医師を派遣している。同大と日立製作所は04年に技術連携・人材育成を中心とした協定を結んでおり、医療分野での新たな協定締結で産学連携を加速させる。

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