ずさんさ目立つ予算編成 党内事情優先まるわかりの特別評価 政策コンテスト『産経新聞』2010年12月1日付

『産経新聞』2010年12月1日付

ずさんさ目立つ予算編成 党内事情優先まるわかりの特別評価 政策コンテスト
 

2011年度予算の特別枠配分決定に向けた政策コンテストの評価会議で、あいさつする玄葉国家戦略相(中央)。左は仙谷官房長官=1日午後、首相官邸 政府の評価会議は各府省が「特別枠」に要望した事業の約6割について「積極的に評価できる」としたが、客観性に欠けるうえ、決定過程も不透明でずさんさが目につく。「予算の組み替え」「査定の透明化」を金看板に2年目の編成作業に入った「民主党予算」だが、今年もかけ声とパフォーマンスが先行している。

 「予算編成の『透明化』や『見える化』を実現できた。この評価に沿ってメリハリのきいた予算を作りたい」。玄葉光一郎国家戦略担当相は同日の評価会議後、一連の特別枠要望の評価作業を自画自賛した。

 だが、各府省の要望は省益ばかりが優先。小学1~2年生を対象に35人学級実現を目指す事業では対象となる教員の人件費について、査定にさらされる通常予算要求で減らして要求しておきながら、新規事業として特別枠につけかえて要望した。こうした既存事業の「衣替え」「焼け太り」は多く、「政治主導で予算を大胆に組み替える」というキャッチフレーズは要望段階から早くも形骸化していた。

 さらに評価のメリハリもきいてない。評価会議は「特別枠にふさわしい事業は何か、という観点から精査する」(玄葉担当相)と、当初から新成長戦略や民主党のマニフェスト(政権公約)に関する施策を優先する方針を示していたが、これを重視するあまり事業を絞り込めず、事業を積極的に評価するとした「A」「B」が半数どころか全体の6割以上を占めた。評価過程にしても公開したのは各府省へのヒアリングだけ。決定の最終段階はすべて“闇の中”だ。

 景気対策などの重点政策に配分するはずの特別枠にはふさわしくないとの議論が根強かった在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)に関しては、ほとんど議論されず「政治判断」を優先し、「A」評価。高速道路無料化の社会実験なども政府の意見募集で「不必要」が82%に達した不人気政策だが、民主党などから「公約施策は重視すべき」との意見が寄せられ、「B」に格上げした。

 今後は総額約2兆9千億円の要望額を、半分以下の1兆3千億円程度にまで絞り込む必要があるが、政府内からは「ある程度膨らまざるを得ない」(平野達男内閣府副大臣)と早くも予防線を張る声が出始めた。最終的な配分は菅直人首相が決めるが、国民が納得できる結果は期待できそうにない。

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