日本を元気にする強い人材を 日本経団連タイムスNo.3022 (2010年11月25日)

日本経団連タイムスNo.3022 (2010年11月25日)

日本を元気にする強い人材を

-「スーパー連携大学院構想」の説明を聞く/産業技術委員会産学官連携推進部会

日本経団連の産業技術委員会産学官連携推進部会(西山徹部会長)は15日、東京・大手町の経団連会館で、スーパー連携大学院構想協議会委員長・電気通信大学長の梶谷誠氏から、信州大学、電気通信大学、中央大学等国公立および私立大学が参画する同構想の説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ 背景

欧米では博士が社会の中核的人材として活躍しているのに対し、日本では、その必要性は認識されつつも活躍は進んでいない。経団連が2007年に発表した「イノベーション創出を担う理工系博士の育成と活用を目指して」の指摘どおり、「優秀な人材が博士課程に進学しない」→「博士人材の付加価値が不明確である」→「企業が博士人材の採用に消極的である」という悪循環は断ち切れていない。

個々の大学・企業間の産学連携を超えて産学連携を一層深化させるべき、また、地方活性化のカギとして大いに活用すべき、との問題意識のもと、産学官に金融界も加えた検討を開始する場として、2004年に任意団体「コラボ産学官」を設立した(現在は一般社団法人)。そのなかで、顕在化する博士問題に関する検討も開始し、07年9月に「スーパー連携大学院(仮称)設置の提言」を発表し、アカデミア以外の分野で活躍する博士を養成する必要性を指摘した。

■ スーパー連携大学院構想の特徴

スーパー連携大学院構想には、電気通信大学ほか地方の国公私立大学14校が参加を表明している。最大の特徴は「アカデミア以外で活躍する博士人材の育成」を掲げている点である。同構想に賛同する大学が、企業との連携のもとコンソーシアムを設立し、そのコンソーシアムが「連携サーティフィケートプログラム」を管理・運営。希望する学生は所属する大学に籍を置いたまま、同プログラムに参画する。同プログラムは、産学官連携の共同研究プロジェクトのみを研究対象とし、学生は実社会の課題・問題意識・意義を体験することが可能となる。その他、参加大学が全国にあることによるe‐ラーニングの活用や、厳格な質保証、起業・就職支援等の充実なども特徴として挙げられる。

質疑応答で改革への決意を表明

質疑応答では、「大学教員の意識改革への取り組みが必須ではないか」との問いに対し、梶谷委員長から、「大学のなかにいる志のある教員を集めて、少しずつ改革に取り組んでいく」との決意が表明された。最後に、西山部会長から、「欧米でも最初から博士号取得者が社会で順調に活躍していたわけではなく、日本と同様にオーバードクターの課題があった。日本の現状は、将来に向けた問題克服への過渡期である。こういった時期には、既存の仕組みに小さくても穴をあけていくことが非常に重要。その意味で、この取り組みを高く評価したい」と期待が寄せられた。

【産業技術本部】

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