予算案「1兆円特別枠」 思いやり予算は最高のA判定『朝日新聞』2010年11月23日付

『朝日新聞』2010年11月23日付

予算案「1兆円特別枠」 思いやり予算は最高のA判定

 来年度予算の1兆円超の「元気な日本復活特別枠」を決める評価会議(議長・玄葉光一郎国家戦略相)が、防衛省の在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)や、海上保安庁の大型巡視船整備などを最高のAランクと判定したことがわかった。同会議によるA、B、C、Dランクの評価を踏まえ、菅直人首相が予算化を最終判断する。

 評価会議は、先に行った政策コンテストを踏まえて、各府省が特別枠に要望した189事業(約2.9兆円)の評価を、月内にも各府省に内示する。Aは「積極的に評価できる」で要望額のほとんどが認められ、B、C判定は減額して予算化される方向だ。

 思いやり予算(要望額1859億円)はほとんど議論されないまま、現状維持との日米合意を踏まえてA判定に。国土交通省が要望する大型巡視船などの重点整備(245億円)も、尖閣沖の中国漁船衝突事件などを受けて判断した。

 各府省が削りづらい事業を相次いで特別枠で要望したため、政策コンテストの形骸(けいがい)化が改めて際立った。一方で、菅政権が打ち出した雇用や成長分野重視の姿勢が反映された判定もあった。

 農林水産省が要望する畑作の戸別所得補償については、B判定。一方、事業仕分けで「見直し」との結論だった国交省の訪日旅行促進事業(26億円)はC判定。高速道路無料化の社会実験(750億円)は、民主党の昨年の衆院選マニフェストに盛り込まれた案件だが、一般からの意見募集(パブリックコメント)で低評価だったため、C判定になる方向だ。

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各府省の要望に対する判定(府省・要望額)

A(要望額のほとんどを容認)
海上保安庁の大型巡視船,ヘリの整備(国交省・245億円)
在日米軍駐留経費負担=思いやり予算(防衛省・1859億円)
新卒者就職実現プロジェクト(厚労省・73億円)

B(減額して予算化)
農業の戸別所得補償=畑作物(農水省・1080億円)
省電力な最先端情報網の構築に向けた研究開発(総務省・16億円)

C(減額して予算化)
小学校1,2年生の35人学級実現(文科省・2247億円)
高速道路無料化の社会実験(国交省・750億円)
中国向け訪日旅行促進事業(国交省・26億円)

D(予算化?)
民間資金を活用した事業の投資基金創設(内閣府・152億円)
地方放送局が制作した番組の海外展開(総務省・4.5億円)

(新聞の情報をもとに事務局で作成)

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