『東日新聞』2010年11月16日付
世界初の国際研究拠点
豊橋技術科学大学 (豊橋市天伯町、 榊佳之学長) の開学以来初の研究所となる 「エレクトロニクス先端融合研究所」 (EIIRIS=アイリス) が完成し15日、 同施設前で開所式を行った。
同大が世界に誇るセンサ・LSIやフォトニクスデバイスを技術基盤とし、 医学はじめ生命科学、 農学、 環境、 情報通信、 ロボットなどの最先端の応用分野と組み合わせることで、 新たな融合を目指す世界初の国際研究拠点。
榊学長のリーダーシップにより、 計画より2年早く実現した。 元文科相、 塩谷立衆議院議員や西永頌 (たたう) 前学長ら関係者100人余が集い、 「榊丸」 の新たな船出を祝った。
今年4月から国立大学法人の第2期中期計画が始まった。 豊橋技科大も 「技術を究め、 技術を造る」 を基本理念に掲げ、 改革・再編に取り組んでおり、 この研究所開設はそのメーン事業の1つ。 これまで研究活動を支援するためリサーチセンターなどを設けてきたが、 国際的な技術開発競争の激化や大学特性の鮮明化を踏まえ、 同大の得意分野を1つの研究施設に集めて、 最先端の異分野境界領域の融合、 開拓に取り組むことにした。
フォトニックメモリ技術の井上光輝教授グループによるアドバンストメディカルテクノロジー (医療3D画像、 データメモリなど) ▽インテリジェントセンシングシステムの石田誠教授グループによるブレインテクノロジーイノベーション (神経回路網計測、 脳活動光制御) ▽先端農業・バイオの平石明教授グループによるグリーンテクノロジーイノベーション (植物との対話) の3部門を 「基盤」 (それぞれ部門長) に、 将来の技科大を担う30歳代の若手研究者育成を目的にした研究支援・人材育成部門を設けた。 研究所長は石田教授 (副学長)。
開所式で、 榊学長は 「この研究所開設を機に、 さらに新しい領域へ挑戦していきたい」 と決意。 塩谷元文科相は 「榊学長に熱意に打たれた」 と祝辞を述べた。
森本衆議院議員、 佐原市長らを交えて、 玄関先でテープカットを行い、 全員で祝った。 鉄筋コンクリート造り3階建て、 延べ床面積1514平方メートル。 建設費5億5000万円。
このあと、 施設案内を行い、 記念シンポジウムも開いた。 (山崎祐一)