早すぎる就活、経済界で見直し議論 大学側から悲鳴『朝日新聞』2010年11月10日付

『朝日新聞』2010年11月10日付

早すぎる就活、経済界で見直し議論 大学側から悲鳴

 新卒者の採用活動の時期を見直す議論が経済界で本格化してきた。就職活動の早期化と長期化で、大学3年生後半から授業が成り立たないという教育現場の声が強まっているためだ。日本経済団体連合会は、2013年春入社の新卒者の採用活動について検討を始めた。

 経団連には採用活動について定めた「倫理憲章」があり、例年、春から夏にかけてワーキングチームで倫理憲章の改定を話し合う。今回は、半年以上早めて10月にチームを立ち上げ、検討を続けている。関係者は「(早期化是正について)一定の結論を出すかどうか、年内か来年1月までに何らかの方向性を出したい」と話す。

 経済界で最初に動いたのは商社。42社が加盟する日本貿易会が10月、13年春入社の新卒者から、現在は4年生の春に始まる採用活動を夏以降に遅らせる方針を表明。近く経団連など経済団体に対し、経済界全体で取り組むよう求める。

 政府も経済界に働きかけている。高木義明文部科学相は10月、経団連など経済団体に早期化是正を申し入れた。文科省、厚生労働省、経済産業省の政府側と経済界、大学の代表が採用のあり方について話し合う意見交換会が今月中に開かれる予定だ。

 ただ、倫理憲章は強制力がなく、外資系企業には倫理憲章に参加していないところも多い。

 注目されているのが銀行業界の動き。採用人数が多く、商社と並んで学生の人気も高いからだ。今のところ「現状の課題や採用活動を遅らせた場合の弊害について、しっかり議論を深めた上で決定すべきだ」(全国銀行協会)と慎重な姿勢だ。(山根祐作)

Proudly powered by WordPress   Premium Style Theme by www.gopiplus.com