高学歴人材ミスマッチ解消へ道場 福井大が開設、セミナー『福井新聞』2010年10月26日付

『福井新聞』2010年10月26日付

高学歴人材ミスマッチ解消へ道場 福井大が開設、セミナー

 大学院を修了した高学歴な人材と、産業界が求める人材のミスマッチを解消しようと、福井大は大学院工学研究科生らを対象に、仕事に必要なリーダーシップや企画力を学ぶプログラム「産業現場に即応する実践道場」を開設。25日に福井市の文京キャンパスでキックオフセミナーを開いた。

 同研究科では毎年度、30数人が博士後期課程を修了するが、このうち民間企業や大学に就職できるのは7割程度。10人程度は定職に就けず、教授らの研究を補助する「ポストドクター(ポスドク)」として期限付き雇用されるなど、不安定な身分になっているという。

 同プログラムは、即戦力を求める企業ニーズに応え就職先を確保しようと、文部科学省の支援を受け初めて開設した。博士後期課程の学生やポスドク、企業の若手社員を対象に2012年度まで3年間取り組む。

 道場では講義と実習を行う。講義では知的財産やリーダーシップ論などについて、現場で活躍する弁理士などから生の知識を学ぶ。実習は、各企業で就業体験をしながら開発現場の問題などを解決する。1年で講義、実習計10単位を取得する。修了者には同大独自の資格「産業技術エキスパート」が授与される。初年度は実習科目を11月から、講義科目は来年4月から実施する予定。

 キックオフセミナーには、対象となる院生や企業の担当者ら約100人が参加。同大産学官連携本部長の山本暠勇教授は「企業が現場に即応できる人材を求めているのに対し、博士課程修了者は研究志向が強く、産業意識に欠ける。教員も意識を変えなければならない」と問題点を指摘。プログラムについて「博士課程の就職先を確保することが学生増加につながり、研究活性化にも役立つ」と意義を説明した。

Proudly powered by WordPress   Premium Style Theme by www.gopiplus.com