和歌山大:授業料減免も危機 予算確保に協力を 学生らに要請『毎日新聞』和歌山版2010年10月8日付

『毎日新聞』和歌山版2010年10月8日付

和歌山大:授業料減免も危機 予算確保に協力を 学生らに要請

 政府からの歳出削減圧力が強まる中、国からの運営交付金が収入の5割を占める和歌山大(山本健慈学長)が危機感を強めている。政権交代によって予算獲得の方法が変わり、交付金の予算確保が不透明になっているからだ。学生の授業料減免や研究の質などに影響を及ぼしかねず、7日には学生や教職員らを集めて緊急集会を開催、予算確保に協力を呼び掛けた。【岸本桂司】

 「皆さんの力がなければ予算が取れないんです」。同大財務担当の松浦功理事は、大教室に集まった約200人を前に声を張り上げた。

 政府は11年度予算編成で、各省の概算要求削減の実績に応じ、特別枠として予算要望することを認めている。国立大学法人運営交付金の一部である授業料免除枠や教育研究基盤強化費なども、その対象だ。ただ、「政策コンテスト」で採用される必要があり、その議題になるかは一般から意見を求めるパブリックコメント次第。予算「ゼロ」の危惧(きぐ)もあり、学生たちにパブリックコメントを寄せるよう協力を求めた。

 09年度の同大収入は約74億3200万円。約37億円の同交付金は、全体の38%にとどまる自己収入を上回る最大の収入源だ。年々削減されてきたが、今回授業料免除枠などの予算が確保できなければ、「授業料アップや教員の人数減などの事態にもなりかねない」(松浦理事)。

 同大では10年度、学生577人が授業料減額や免除を受け、総額は約1億5000万円に上る。集会に参加したシステム工学部2年生の小田祐也さん(19)は「家庭の経済的事情で授業料半額の減免を受けており、もしだめになると大学に通えなくなる」と不安をあらわにした。

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