公務員給与で調整本格化=人勧上回る削減、高い壁-菅改造内閣、問われる手腕 時事通信配信記事2010年9月26日付

時事通信配信記事2010年9月26日付

公務員給与で調整本格化=人勧上回る削減、高い壁-菅改造内閣、問われる手腕

 国家公務員の給与水準を定める給与法改正案をめぐり、政府は10月1日の臨時国会召集を前に、閣内での調整を本格化させる。焦点は人事院が勧告した給与引き下げ幅をさらに拡大するか否か。菅直人首相は勧告以上に給与を下げる「深掘り」に意欲を見せているが、ハードルも高く、菅改造内閣の手腕が早速試されることになりそうだ。

 「国家公務員人件費の2割削減に向け、勧告を超えた削減を目指す」-。菅首相は今月1日に発表した民主党代表選の政見で、人事院が8月に勧告した国家公務員一般職の平均年間給与1.5%減を上回る給与削減を目指す考えを表明した。仮に勧告通りに給与を下げても、削減できる国庫負担額は790億円程度。民主党がかねてマニフェスト(政権公約)で掲げる「2割カット」の1.1兆円には隔たりが大きいためだ。

 政府が提出する給与法改正案は通常、12月1日に支給される冬のボーナスに改定内容を反映させるため、11月末までに成立させる必要がある。このため、審議日数などから逆算すると、遅くとも10月19日ごろまでには政府方針を決定した上で、同月末までには同法案を閣議決定しなければ間に合わない。検討に費やせる時間は、実は少ない。

 菅首相は今回の内閣改造で、勧告の尊重を強く主張してきた原口一博氏に代わり、勧告制度に批判的な片山善博前鳥取県知事を総務相に起用。片山氏や蓮舫公務員制度改革担当相は就任後、「国の財政状況は破綻(はたん)寸前だ」と指摘、深掘りも含めた検討を関係閣僚間で早急に進める考えを示している。

 ただ、深掘りには壁も高い。これまで人事院勧告のプラス改定幅縮小や実施見送りは例があるが、政府がマイナス改定をさらに削減したことはない。自公政権も国家公務員の労働基本権制約の代償措置である勧告制度を尊重してきた。

 仮に今回、勧告以上の削減に踏み切れば、民主党の支持基盤でもある公務員労組の反発は必至。職員から提訴される可能性もあり、政府は削減規模や実施理由などに関する理論武装を迫られる。一方で、勧告通りの法案を提出すれば、国会審議で野党から「公務員に甘い」と突き上げられる展開が予想され、いずれにしても菅政権はいばらの道を歩むことになる。

Proudly powered by WordPress   Premium Style Theme by www.gopiplus.com