大学発ベンチャー新設、08年度45%減 3年連続減少『日本経済新聞』2010年9月16日付

『日本経済新聞』2010年9月16日付

大学発ベンチャー新設、08年度45%減 3年連続減少

 文部科学省の科学技術政策研究所は15日、大学などの研究成果を実用化する目的で新たに設立された大学発ベンチャーが2008年度は90社だったと発表した。07年度の164社に比べると45%の減少で、設立数が前年度実績を下回るのは3年度連続となる。同研究所は、リーマン・ショックによる景気低迷や株式公開が思うように進まない厳しい経営環境などが影響して、起業を敬遠する傾向があるとみている。

 全国821の国公私立大学や高等専門学校などに09年7~8月にアンケート調査した。08年度に新規設立が最も多かったのは東京大学の7社で、これに九州大学の6社、筑波大学と光産業創成大学院大学の各5社が続いた。研究分野別ではライフサイエンスが21社と最多で、情報通信が18社、製造業関連が16社だった。08年度に株式公開したのは1社だけ。一方、清算や廃業したのは17社で、07年度の18社から横ばいが続く。

 08年度末までに設立された大学発ベンチャーの総数は1963社で、うち株式公開にこぎ着けたのは20社。累計設立数トップは東大の147社。早稲田大学が107社で続き、大阪大学の82社、京都大学の79社、筑波大の76社の順だった。

 教員の研究成果が設立の基盤となった大学発ベンチャーが最も多いのも東大。学生の成果が基になっているベンチャーが一番多いのは早大だった。

 全体の設立が減っている背景には、大学に蓄積された研究成果の“弾切れ”もある。有望そうな研究成果はそれを基にしたベンチャーがすでに08年度より前に設立され、事業化が試みられている。

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