研修医育成でタッグ『朝日新聞』岐阜版2010年9月7日付

『朝日新聞』岐阜版2010年9月7日付

研修医育成でタッグ

 県内の公的病院と民間病院が連携して研修医の育成と医師確保に取り組もうと、岐阜大学医学部付属病院などでつくる団体「県医師育成・確保コンソーシアム」が6日、設立された。研修医に魅力的な研修プログラムを提供して県内への医師の定着を図るほか、へき地への勤務を研修に盛り込み、医師不足地域の解消も狙っている。(舩越紘)

◆医師不足地域の解消も

 県内は人口10万人あたりの医師数が177・8人。全国平均の212・9人を下回り、ワースト10に入る医師過疎地域だ。

 背景には、2004年に新しい臨床研修制度が始まったことがある。研修医が自由に研修先の病院を選べるようになったため、症例数の多い都市部の病院に人気が集中。医師不足を懸念した地方の大学病院は、へき地に派遣していた医師を引き揚げ始めた。

 そこで岐阜大学医学部では2008年度、県内で働く意欲がある県出身者を対象にした推薦入学の「地域枠」を設けた。当初は10人だったが、10年度から25人に枠を拡充。一定期間、県内で勤務すれば授業料などの返済が免除される奨学金制度もつくった。

 設立された組織は、地域枠で入学した卒業生の受け皿として想定している。岐阜大学付属病院をはじめ、研修医が多く集まる県内の公的・民間の計9病院が参加した。各病院が連携して、研修医の希望を踏まえたキャリアパスを作成。必要に応じて指導医も派遣し、研修プログラムの質を高める。

 県医療整備課によると、現在の制度では、複数の病院間で研修を積むことは難しいという。「病院によって得意分野は異なる。複数の病院で研修して、自分の専門性を高めることもできる」と同課の担当者は今回の新しい連携に期待する。岐阜大学医学部地域医療医学センターの村上啓雄・副センター長も「教育を受ける側としては、安心して県内でキャリアアップできる体制が大切だ」と語る。

 さらに、研修プログラムでは医師が不足している地域への派遣を義務づける。飛騨や東濃地区にある中核病院のほか、岐阜地区でも医師不足に悩む診療科などが、派遣先になりうるという。

 6日はコンソーシアムに加わる各病院の病院長らが県庁に集まり、協定の締結式があった。犬塚貴・岐阜大学医学部長は「若手の医師を育成するなかで、地域医療の確保を目指したい」と話した。

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