「予算組み替え」不発=民主の公約修正は不可避-概算要求  時事通信配信記事 2010年8月30日付

 時事通信配信記事 2010年8月30日付

「予算組み替え」不発=民主の公約修正は不可避-概算要求

 2011年度予算の概算要求は、成長戦略などに重点配分する「予算の大胆な組み替え」が期待通りに進まなかった。カギを握っていた1兆円超の特別枠には、公共事業など旧来型事業の予算を付け替えた要求が目立つ。この結果、子ども手当など民主党が昨年夏の衆院選マニフェスト(政権公約)で掲げた主要施策の財源は十分に確保できず、今後、大幅な修正が不可避だ。

 特別枠は成長戦略のほか、マニフェスト実現や雇用拡大などの施策に配分することになっていた。ところが、各省庁の要求をみると、特別枠の本来の趣旨から外れた事業が多く紛れ込む。10年度予算で公共事業費を15%カットした国土交通省は「さらに削減努力を強いるのはおかしい」(前原誠司国交相)として、特別枠を使って前年度並みを要求。経営難にある地方交通機関を財政支援する交通基本法関連事業(453億円)には「新たなばらまき政策」(財務省主計局)との批判もある。

 また、防衛省は外交問題に直結する在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)の大部分を特別枠で要求し、歳出カットに予防線を張った。

 7月に決定した概算要求基準では、目標の一律1割削減を超えた省庁には、その超過額の3倍まで特別枠を追加要求できる「ボーナス」を用意した。しかし、自主的な歳出削減の動きは鈍く、ボーナス制度を活用したのは国交省や文部科学省など半数程度にとどまった。

 予算の組み替えが進まない中、各省庁は高速道路無料化など公約施策の予算を大幅圧縮。11年度に目指す子ども手当の満額支給(月額2万6000円)は2.7兆円の財源のめどが付かずに予算額を示さない「事項要求」とした。問題は年末の予算編成作業に先送りした形だ。

 そもそも民主党内には一律1割削減を決めた要求基準に対し、「財務省主導の予算編成」との不満がくすぶる。「代表選後の新体制の下で予算づくりを本格的にやればいい」(政調幹部)との意見も出ている。

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