声明 「概算要求組替え基準」に基づいた高等教育予算削減を行わず、運営費交付金の根幹である基礎基盤的経費の増額を求める2010 年8 月26 日全国大学高専教職員組合 中央執行委員会

声明 「概算要求組替え基準」に基づいた高等教育予算削減を行わず、運営費交付金の根幹である基礎基盤的経費の増額を求める

2010 年8 月26 日
全国大学高専教職員組合 中央執行委員会

マスコミ報道等によれば、2011 年度概算要求に際し文部科学省は、7 月27日の閣議決定「平成23 年度予算の概算要求組替え基準について」を踏まえ、「閣議決定の1割削減からさらに1000 億円以上を減額した概算要求を行い、『超過削減額』の3 倍の要望が可能とされている『元気な日本復活特別枠』で2010年度予算を上回る予算額をめざす」としている。

高等教育への公的支出が対 GDP 比でOECD 諸国最下位という現状の下で、高等教育予算、特に運営費交付金について、概算要求基準の枠組みの下で10%以上の削減を行い、「特別枠」で増額をめざすことが、高等教育予算及び運営費交付金の削減につながるのであれば、私たちはこれを到底容認できるものではなく、その見直しを強く求める。

私たちは次のことを主張する。

第1に、上述の報道内容に基づき概算要求が行われた場合、国立大学等の運営費交付金は大きく減額される可能性がある。それは、「特別枠」は「政策コンテスト」による順位付けにより決定されるものであり、地味な基礎基盤的経費を根幹とする運営費交付金が「特別枠」の対象となること自体想定しがたいからである。また、「特別枠」に応募しても予算を確保できる保証はない。仮に「特別枠」により高等教育予算が増額になるとしても、「政策コンテスト」は目的・使途が特定されており、運営費交付金の根幹である基礎基盤的経費の減額は避けがたいであろう。

第2に、民主党は先の衆議院選挙公約(『政策集INDEX2009』)において運営費交付金の増額を明確にし、政権交代した現政府は2010 年度予算において経営改善係数の廃止等一定の改善措置をとった。そのことは評価する。それだけに、公約に反する運営費交付金の減額は断じて容認できない。

第3に、運営費交付金の根幹となる基礎基盤的経費は、教育・研究・医療活動を支える最低限の保証であり、国立大学等にとっては水や米と同様の生命線、命綱である。

基礎基盤的経費のこれ以上の削減が多くの国立大学等を存亡の危機に立たせることは明白である。

第4に、大学・高等教育の役割は、社会・地域における人材養成、産業・経済の活性化、文化の継承、自然災害・環境破壊への警鐘・防止策の研究・提言や医療活動等を通じて、人類と地域社会に貢献していくことにある。今日の社会をめぐる様々な病理現象の中で、高等教育が果たすべき役割と責務は益々高まっている。今回の閣議決定による概算要求基準は、私立大学、公立大学にもさらに深刻な影響を与え、社会の発展に寄与すべき高等教育の基盤を崩壊へと導くものと言わざるを得ない。

私たちは、政府、文部科学省が運営費交付金及び高等教育予算を増額することを強く求める。

基礎基盤的経費の充実へ向け、また、高等教育の受益者である国民の賛同と共感をめざし、全大教は、国立大学等はもとより、国・公・私の枠を超えた高等教育関係者をはじめ、国会、地方公共団体等幅広い各層との協力・共同に総力を挙げて取り組む。

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