科学と技術の間に「・」を 学術会議が首相に法改正勧告『朝日新聞』 2010年8月25日付

『朝日新聞』 2010年8月25日付

科学と技術の間に「・」を 学術会議が首相に法改正勧告

日本学術会議(金沢一郎会長)は25日、科学技術基本法を改正して「科学技術」を「科学・技術」と表記するように求める勧告を菅直人首相にした。勧告は「要望」「提言」「声明」など同会議が行う意思表示のなかでもっとも重く、地震災害時の大都市の安全確保について勧告した2005年4月以来となる。

 「科学技術」は「科学」と「技術」という別の言葉を並べているが、勧告は「科学技術」を「科学に基礎付けられた技術」の意味で使われがちで、技術重視になると指摘。短期的に結果を求める成果主義に偏り、将来につながる科学の基礎研究が軽視されることを懸念している。

政府の総合科学技術会議は、1月から「科学・技術」の表記を使っているが、勧告では「法においても明確に採用すべきだ」とした。

また、科学技術基本法には、「人文科学のみに係るものを除く」との規定があるため、自然科学だけでなく、人文・社会科学も含め学問全体

を施策の対象にするべきだとして削除を求めた。

金沢会長は「経済が右肩下がりのときは安易に結果を求めがちで、将来に危うさを感じる。ささいなことかもしれないが、言語の正確さは大事だ」と話している。(行方史郎)

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