「国立大学運営費交付金」をはじめとする高等教育予算の削減に反対する声明
国立大学法人17大学人文系学部長会議
「財政運営戦略」の「中期財政フレーム」が本年6月22日に閣議決定されました。これによれば、今後3年間「政策的経費」は毎年8%の減になるとのことです。これは現在の大学の予算に換算すれば、17大学の人文系学部の多くが消滅するほどの削減規模となります。
我々は、この状況に強い危機感を持たざるを得ません。このような規模の予算削減が高等教育の分野でそのまま行われた場合、現状でも「公的財政支出OECD中最下位」のわが国の高等教育は壊滅的な打撃を受けることになるでしょう。
人文系学部は、これまで、大学教育においてリベラルアーツを提供することで大学全体の教育を支える役割を果たして来ています。また、それぞれの地域において人材養成、地域教育といった場面で、社会的使命を果たしてきました。現在予定されている予算削減が為されたならば、もはやそのような役割を果たすことは為し得なくなるでしょう。それは結果として各々の高等教育機関の立地する地域の教育、経済に致命的な影響を与えることになるのは明らかです。
これは「コンクリートから人へ」という理念にも反するものです。
7月20日に開催された閣僚委員会において省庁ごとの要求上限額の設定こそ見送られたものの、予算をめぐる危機的状況はいまだ続いています。我々は、上に述べたような立場から、「国立大学運営費交付金」を含む高等教育予算の削減に、強く反対するものです。
平成22年7月21日
国立大学法人17大学人文系学部長会議 構成メンバー
弘前大学人文学部長 石堂 哲也
岩手大学人文社会科学部長 牧 陽之助
山形大学人文学部長 渡邊 洋一
福島大学行政政策学類長 塩谷 弘康
茨城大学人文学部長 佐々木 寛司
埼玉大学教養学部長 高木 英至
富山大学人文学部長 山口 幸祐
信州大学人文学部長 渡邊 秀夫
静岡大学人文学部長 佐藤 誠二
三重大学人文学部長 樹神 成
島根大学法文学部長 武田 信明
山口大学人文学部長 湯川 洋司
徳島大学総合科学部長 石川 榮作
愛媛大学法文学部長 黒木 幹夫
高知大学人文学部長 小澤 萬記
鹿児島大学法文学部長 石川 英昭
琉球大学法文学部長 前門 晃