平成23年度概算要求基準(シーリング)において「国立大学法人運営費交付金」を削減対象としないこと-【教育は未来の先行投資】-<緊急声明>平成22年7月16日国立大学法人京都教育大学長  位藤紀美子

平成23年度概算要求基準(シーリング)において「国立大学法人運営費交付金」を削減対象としないこと-【教育は未来の先行投資】-<緊急声明>

平成22年7月16日
国立大学法人京都教育大学長  位藤紀美子

政府が、先に閣議決定した「財政運営戦略」の「中期財政フレーム」によれば、平成23年度から3年間は「基礎的財政収支対象経費」について前年度を上回らないこととし、できる限り抑制に努めることとされています。
仮に、巷間1兆円以上とも言われる社会保障関係経費の伸びを勘案いたしますと、いわゆる「政策的経費」は8%の削減となります。
この「政策的経費」には、国立大学の基盤的な経費の財源である運営費交付金や私立大学の経常的経費の補助金が含まれ、すさまじい削減(国立 927億円減、私立 258億円減)を求められることが予想されます。(7月14日(社)国立大学協会及び日本私立大学団体連合会の声明文より)

一方、「新成長戦略」で、「成長の原動力として何より重要なことは、国民全員に質の高い教育を受ける機会を保障し、様々な分野において厚みのある人材層を形成することである。すべての子どもが希望する教育を受け、人生の基盤となる力を蓄えるとともに、将来の日本、世界を支える人材となるよう育てていく。」と明記されているように、「教育は未来の先行投資」であります。
しかしながら現状でも、我が国の高等教育予算はOECD諸国の中でも最下位です。
さらにこれ以上削減されると、我が国の人材養成そのものが崩れかねません。
その教育に携わる教員、特に初等中等教育を担う学校教員の養成・資質向上が十分おこなわれることが重要な課題の一つと考えます。
同時に、去る6月3日には、文部科学大臣から中央教育審議会に、「教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方策について」諮問が行われ、教員の養成・採用・研修はじめ長い教職生活を見通した総合的な視点からの審議が開始されたところです。

京都教育大学は、教員養成の単科大学として、人間性豊かな実践力を備え自主性・創造性に富む学校教員の養成に向け、教職員が一丸となり、学生・大学院生の教育や研究に取り組んでおります。
本年4月には、学部卒業生の63%、大学院修了生の57%、連合教職員大学院修了生の97%が学校教員として採用されています。
本学の教員養成を行うための大学運営の基盤的な財源は、75%を国立大学法人運営費交付金で賄われています。
平成16年度の国立大学法人化後、6年間で1億5千万円もの国立大学法人運営費交付金が削減されたため、定年教職員の後任補充を控えることや教職員の給与の引き下げなど、教育研究の質を保つための教育研究に係る直接的な経費以外の様々な経費削減に取り組んできました。
しかし、この国立大学法人運営費交付金が単年度8%(約3億円)もの大幅な削減となりますと、教育研究活動の停止や附属学校を含む教職員の大幅な削減等の歳出経費の大幅な削減を行うか、或いは収入確保のため授業料の大幅値上げなどを余儀なくさせられ、本学の責務である学校教員の養成に計り知れない影響を受けることになります。

近々、この「財政運営戦略」等を踏まえた平成23年度概算要求基準が閣議決定されるとの報道があります。
国家財政の立て直しが急務であることは理解いたしますが、「新成長戦略」の「質の高い教育による厚い人材層」の形成に向け、国立大学が果たす役割はますます高まるものと思慮されます。
その運営の最も基盤的な財源であります「国立大学法人運営費交付金」については、削減の対象とせず、「新成長戦略」に基づき、長期的な観点から予算配分が行われますよう、関係の皆様がたのご理解と見識あるご判断を切望いたします。

http://www.kyokyo-u.ac.jp/KOUHOU/topics/seimei.html

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