公共サービス改革基本方針・中期財政フレームと小泉構造改革をさらに強権的に推進しようとする菅内閣

公共サービス改革基本方針・中期財政フレームと小泉構造改革をさらに強権的に推進しようとする菅内閣

2010年7月8日
国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局

菅内閣は, 6月22日の閣議で,2020年度までを見据えた『財政運営戦略』を閣議決定した.
http://www.npu.go.jp/policy/policy01/pdf/20100622/100622_zaiseiunei-kakugikettei.pdf
その中の2011~2013年度を対象とした『中期財政フレーム』においては,国債費等を除く歳出を2010年度(71兆円)以下に抑えるという歳出の原則が盛り込まれている.

国立大学協会は,この原則によって政策的経費の減額が年間マイナス8%(3年間で24%減)になると試算し,この数値が国立大学運営費交付金などに適用されれば国立大学の研究教育は壊滅的な打撃を受けるとして,『中期財政フレーム』の国立大学への機械的適用に反対する緊急行動の開始を全国国立大学学長に呼びかけた.この呼びかけの文書および,関連する資料は,東京大学職員組合のサイトの以下のURLに掲載されている.
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/1007unneihi-siryopagehtml.htm
また,京都大学職員組合からも全国大学高専教職員組合のメーリングリスト「高等教育フォーラム」(he-forum 15547)において紹介されている.

一方,7月6日付の本事務局発《市場化テスト導入阻止情報》No.16で紹介したように,改定された『公共サービス改革基本方針』が7月6日に閣議決定され,その内容は,内閣府の公共サービス改革推進室,ならびに官民競争入札等監理委員会の指揮監督権限を著しく強化するとともに,国立大学法人を含む国の行政機関のそれらへの服従を強要するものとなっている.現場からの強い要望もあって国立大学の図書館業務を具体的対象業務からはずすなどの措置がとられているものの,それで民間委託が遠のいたと判断することは決してできず,さらに包括的な民間委託への圧力が強まる恐れもある.

この6月22日と7月6日に相次いで行われた二つの閣議決定は独立したものではなく,ともに財政再建を錦の御旗としつつ,小泉構造改革路線を引き継いで小さな政府(『財政運営戦略』では「新しい公共」という呼び方をしている)の実現を目指すものであり,後者の閣議決定は前者の歳出削減を実現するための緊急的手段の一つと位置付けることができよう.

小泉構造改革路線への国民的批判を受けて昨年誕生した現政権であるが,鳩山前内閣に開始された事業仕分けをはじめとして,菅継続内閣になっての『公共サービス改革基本方針』の改定,今回の『中期財政フレーム』など,8月の概算要求時期を前に矢継ぎ早に小泉構造改革路線をさらに強権的に推進しようとしている.国立大学における教育研究を守り,発展させるためにも,菅内閣の進めようとする方向に断固たる反対の意思を表明するものである.

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