『読売新聞』2010年6月26日付
よみうり寸評
サッカーW杯で昨日はデンマークに快勝した日本だが実は今週、この国に完敗した分野がある◆科学者が自らを幸せと思っているかどうか、その国際調査だ。世界的に有名な英科学誌ネイチャーが実施し一昨日、結果を公表した。それによると欧米など主要16か国で日本の科学者は最も満足度が低かった。デンマークは1位だった◆同誌を購読する各国の科学者らに、自らの給与や労働時間、研究課題の選択の自由度など8項目を採点してもらい、約1万人の回答を集計した◆点数の低い項目を並べると、日本人研究者の多くは休日も取らずに決められた研究を長々と続け、上司や同僚の助けもない、という悲惨な姿が浮かぶ◆政府は今週、年3000万円以上の国の研究費を得た研究者に小中学校などで講演することを義務づける方針を決めた。科学予算に理解を広めるためというが、労働は一層過酷になる◆日本の科学技術力は論文発表数が一部で減るなど低迷が懸念されている。サッカー同様もっと応援してもいい。