『佐賀新聞』2010年6月23日付
佐賀大など開発の会計システム、「クラウド」で運用
病院向け、初期投資不要で使用料月9万円
佐賀大学とICT企業「日本ユニシス」(本社・東京)が、インターネットを使う「クラウドコンピューティング」で提供する病院向けの管理会計システムを共同開発した。会計システムは、部署別に損益管理できるのが特徴で、「クラウド」を使うことで、病院はこの分野で数千万円とされる初期投資がかからず、月額9万円で利用できる。22日から運用を開始、全国の病院への普及を目指す。
会計システムは佐賀大医学部付属病院が2008年に開発。各診療科を独立した専門病院に見立てるなどして、個別に損益管理をする「テナント方式」を採用した。手術などにかかった費用を関係部署で負担し合う原理でコスト管理を徹底。分析や評価に加え、医師数の増減などによる損益変化など、さまざまなシミュレーションもできる。既に約30の医療機関がシステムを使っている。
このシステムに日本ユニシスが着目、「クラウド」を使ったサービス提供を提案した。サービスを受ける病院は、設備投資は不要で、利用料金はソフト使用料や運用費など月額9万円。情報は日本ユニシスのデータセンターに蓄積、他病院とのコスト比較もできる。
会見した佛淵孝夫学長と藤井進医療情報部講師は「効率化は、より効果的な治療方法を探ることにつながり、医療の質の向上にもなる。入院日数の短縮など患者側にも経済的な負担軽減のメリットがある」としている。