京大理学部SOS「このままでは教員削減」 寄付募集中『朝日新聞』2010年6月6日付

『朝日新聞』2010年6月6日付

京大理学部SOS「このままでは教員削減」 寄付募集中

事業仕分けなどによって科学技術分野の予算が削減されるなか、京都大学理学部がホームページ(HP)で寄付を募り始めた。2004年の法人化以降、国立大学は自ら収入を確保するよう迫られているが、物理や数学の基礎研究中心の理学部は産学連携による外部資金の獲得が難しい。このままでは教員の削減も余儀なくされ、「ノーベル賞受賞者が輩出した研究環境が維持できない」という。

同学部は5月中旬からHPに「理学への支援のお願い」との文章を掲載。この「お願い」によると、法人化以降、国立大学への運営交付金が毎年1%ずつ減少。今年度は、京大全体で2.8%の削減となった。このため理学部では「法人化前に比べて教員を10人以上減らさざるをえない」という。

同学部によると、基礎的な学問である理学は産業や医療と直結しないため、他の学部と比べて、企業との共同研究によって外部資金を得にくい。このため広く寄付を呼びかけることにした。HPは「寄付などをお考えの時は電話を」「支援をお考えいただくために見学も可能です」と結んでいる。

京大理学部卒のノーベル賞受賞者には利根川進氏がいる。小林誠、益川敏英両氏は助手時代の研究成果が受賞対象になった。(阿久沢悦子)

Proudly powered by WordPress   Premium Style Theme by www.gopiplus.com