不況下は病院、大学で伸ばす 北陸の建設関連業『北國新聞』2010年6月2日付

『北國新聞』2010年6月2日付

不況下は病院、大学で伸ばす 北陸の建設関連業

北陸の建設関連メーカーが病院や大学向けの受注を伸ばしている。日成ビルド工業(金沢市)は、東大医学部から立体駐車場建設で大型案件を受注。首都圏営業部に戦略チームを置き、スタッフも増員した。官需営業部を設け、病院向けの需要取り込みを本格化させる間仕切りメーカーもある。不況下でも病院、大学関連の発注は堅調で、一般企業の冷え込む設備投資需要を補おうと、各社が営業攻勢をかけている。

日成ビルド工業は現在、東京・本郷で東大医学部立体駐車場を建設している。3層4段で305台収容の自走式駐車場となり、受注額は約4億円。来年3月に完成する予定だ。同社によると、今回の発注は総合評価方式による競争入札で行われ、担当者は「技術、提案など総合的に当社の力が評価された」としている。

同社が立体駐車場事業で病院、大学向けに力を入れるのは、リーマン不況の影響を補うためだ。

以前はマンション向けが同事業受注高の65%を占めていたが、10年3月期は23%に急減。これに対し、病院、大学向けは堅調で、10年3月期の受注は前期の約6倍となる13億円に拡大した。東大だけでなく、昨年以降、広島県立病院、東北大医学部加齢医学研究所の立体駐車場を建設している。

病院は高齢化社会の進展で、慢性的な駐車場不足が課題となっている。加えて、病院、大学は老朽化した物件が多く、耐震化で建て替え需要も活発化しているという。同社は昨年、リース会社と協力し、立体駐車場の建設で顧客企業の初期投資負担がゼロになる新スキームを打ち出し、今期はさらなる受注額の上積みを目指す。

間仕切りメーカーも病院向けで受注を伸ばしている。

コマニー(小松市)は間仕切り全体の市場が縮小する中、ドア製品の売上高が10年3月期に約29億円と前の期から15%伸びた。昨年に官需営業部を設け、病院や介護施設向けが伸びたことが寄与した。また、子会社を持つ中国向け売上高も前の期比約12%増の約12億円となった。担当者によると、「病院の近代化が進んでいる」ことで需要が高まっているという。

小松ウオール工業(同)も、国内病院や老人ホーム向け間仕切り、ドアが堅調に推移している。「官需」と位置付ける病院や学校向けなどの売上高比率は約3割だが、リーマン不況でオフィスビルなどの「民需」が低調なこともあり、官需の比率が高まっている。担当者は「病院や学校は命や安全に関わる分野で、景気に左右されにくい」と指摘する。

ただ、病院、大学は有望な市場だけに競合も激しい。「長期の経済性や安全性、利便性などのアピールが必要で、単に安いだけでは受注できない」(日成ビルド工業)との声もあり、価格以外の競争力で各社がしのぎを削っている。

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