感染症の高度研究施設を設置検討へ 長崎大、世界規模で貢献目指す『長崎新聞』2010年5月22日付

『長崎新聞』2010年5月22日付

感染症の高度研究施設を設置検討へ 長崎大、世界規模で貢献目指す

長崎大(片峰茂学長)は、エボラ出血熱など新たな感染症の研究に向け、必要な実験などを手掛ける「高度安全実験施設」(レベル4施設)の設置に向けた検討を学内で始めたことを21日、明らかにした。

感染症に対する長年の研究実績を生かし、診断・治療やワクチン開発など予防方法の確立に世界規模で貢献することを目指す考え。実現すれば、国内では初の稼働例となるが、危険な感染症の研究は、施設周辺の住民の不安などにつながる可能性もあり、議論を呼びそうだ。

長崎大は、医学部の前身の長崎医学伝習所(1857年創立)以来、感染症研究の実績を積み重ねており、2005年にはケニアとベトナムにも拠点を設置。世界保健機関(WHO)から協力センターの指定を受けている。同大熱帯医学研究所(長崎市坂本1丁目)は、結核菌や狂犬病などを扱えるレベル3施設に相当する。

新たな施設では、アフリカでまん延したエボラ出血熱や天然痘など危険度が最も高い病原体が研究対象となる。

同種の施設は、欧米を中心に世界15カ国、約30カ所が稼働中。同大によると、これらの施設では壁を二重にしたり、廃液をすべて高圧滅菌処理するなど安全対策が徹底されているという。

一方、国内では1981年、国立感染症研究所村山庁舎(東京都武蔵村山市)に設置されたが、住民や地元自治体の反対で稼働していない。

同大は4月、文科省や厚生労働省に検討開始を説明、学内に学長直属のワーキンググループを発足させた。外部有識者を交え、早ければ6月中旬にも初会合を開く。

須齋正幸同大理事は県庁で記者会見し、「地元自治体や住民の一定の理解と合意がなければ、設置できない。その可能性を話し合いたい」と述べた。

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