長崎大学病院、未収金2億円 対策に預かり金を徴収 『長崎新聞』2010年4月30日付

『長崎新聞』2010年4月30日付

長崎大学病院、未収金2億円 対策に預かり金を徴収

長崎大学病院(長崎市坂本1丁目、河野茂病院長)で、診察を受けた患者が支払っていない治療費など未収金の累積額が約2億円に上ることが29日までに分かった。病院は4月から、時間外診療(土、日曜日や平日夜間)の際に預かり金5千円を徴収するなど対策を強化している。

病院によると、未収金は2008年度分までの累積で4541件約1億9280万円(昨年10月末現在)。このうち入院は1527件1億7100万円、外来は3014件2180万円だった。100万円以上の高額未収金は23件で、400万円以上も2件あった。04年度以降は毎年約2千万円が回収できていない。

支払わないままの無断帰宅や「持ち合わせがない」と支払いを拒むケースが多いという。クレジットカードによる分割払いの導入や債権回収業者への委託も始めたが、有効な解決策は見いだせていない。低所得者層の増加も背景に考えられるが、病院事務部は「払えるのに払わない人も多数いる」と分析。一方で「支払ってもらえない可能性が高いと分かっても医療行為を拒めない」としている。

診療報酬を計算できる職員がいない時間外診療は、債務確認書を書いてもらうものの支払いは後日のため、未収金が増える要因の一つだった。5月初旬からは10日以上の入院患者から10万円を預かる。ただ公費負担(被爆者健康手帳所持者、生活保護受給者など)や高額療養費制度の適用者は除くため、入院患者に預かり金を求めるのは1日数件程度の見込み。

河野病院長は「公立病院にも共通する課題」とした上で「大学病院や公立病院は地域住民に安心して医療を受けてもらう最終的な受け皿だ。一人一人は微々たる額でも、まとまると相当な額になる。患者の権利は極めて大切だが、義務もあると理解してもらいたい」と話している。

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