国立大学法人法体制の検証 情報 シリーズ
2010年5月6日 国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局
No.2 国立大学法人評価の実態(2)―拡大する国家統制(上)
2-1 総務省評価による国立大学法人評価の枠づけ
2-1-1 「上下関係はなく」「総務省の立場とは異なる評価委員会」をめざすはずだった
○国立大学法人評価委員会総会(第1回)2003年10月31日(文部科学省サイト)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/kokuritu/gijiroku/03110501.htm
事務局(文部科学省) 国立大学法人評価委員会がその評価を行いましたら、その評価結果を総務省の評価委員会に通知し、総務省の評価委員会は、必要があれば、国立大学法人評価委員会に対して意見を述べるということでございます。したがいまして、どちらが上とかということではございません……
○国立大学法人評価委員会総会(第8回)2005年3月4日(文部科学省サイト)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/kokuritu/gijiroku/05042301.htm
野依委員長 今はこの委員会が権力的に物事を進めるのではないかという恐れを、国立大学法人が持っているのではないかと思います。それは払拭しなくてはいけないです……この委員会は総務省的な評価委員会であってはならない。自律性・多様性という本来の大学の特性を伸ばすべきで、そこをしないと、この評価委員会は総務省とどこが違うのか。
2-1-2 総務省「意見」はすべて中期目標期間評価「共通事項」等に取り入れられている
○独立行政法人の業務実績に関する2次評価結果(総務省サイト)
2004年度(2005年11月14日)
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/daijinkanbou/051114_2_3.pdf(71~74頁)
2005年度(2006年11月27日)
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/2006/pdf/061127_2_13.pdf
2006年度(2008年1月31日)
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/2008/pdf/080131_1_14.pdf
2007年度(2008年11月26日)
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/2008/pdf/081126_2_13.pdf
2008年度(2009年12月9日)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000046954.pdf
(1) 法人経営体制、資源配分方式の改革の効果(04、05)
(2) 経営協議会の役割(05、08)
(3) 財務情報の経年・法人間比較(04、05)
(4) 一般競争入札の範囲拡大(05、06、07)
(5) 総人件費削減(04、05)
(6) 情報公開・説明責任(06、08)
(7) 安全・危機管理体制の構築(05、07)
(8) 公的研究費の不正使用防止(05、06、07、08)
(9) 病院の財務諸表の開示、会計基準の改革(04、05、06、07)
(10) 大学共同利用機関の事務・組織統合の効果(06)
○国立大学法人・大学共同利用機関法人の平成20年度に係る業務の実績に関する評価結果の概要((4))
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/houjin/1289385.htm
○国立大学法人評価委員会総会(第25回)「国立大学法人の各年度終了時の評価における附属病院の評価について(案)」2009年1月28日((9))
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/giji/__icsFiles/afieldfile/
2009/03/30/1234602_9_1.pdf
○国立大学法人評価における業務運営等の共通事項に関する観点(文部科学省サイト)((4)(9)以外すべて)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/kokuritu/sonota/07042601.pdf(13~16頁)
(1) 学長・機構長裁量経費・人員枠やその他の戦略的配分経費の措置、事業の実施状況、資源配分に関する中間評価・事後評価の実施状況
(2) 経営協議会の審議状況及び運営への活用状況
(3) 財務情報に基づく取組実績の分析
(4) 随意契約の適正化に向けた見直し計画
(5) 人件費削減目標値の達成に向けた人件費減の取組状況
(6) 情報発信に向けた取組状況
(7) 災害、事件・事故、薬品管理等に関する危機管理マニュアルの策定等
(8) 研究費の不正使用防止のための体制・ルール等の整備状況
(9) 病院資料、国立大学病院管理会計システム(HOMAS)等により得られた各種統計データの利用
(10) 全国共同利用に必要な学内体制整備や資源配分の状況
2-2 「組織及び業務全般の見直し」による教育研究組織の改廃の強制
2-2-1 「組織及び業務全般の見直しを行うのは法人自身」のはずだった
○評価委員会第15回総会配付資料「中期目標期間終了時に関する法令の規定及び国会審議」(文部科学省サイト)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/kokuritu/gijiroku/06062901/003.htm
<平成15年7月8日参議院文教科学委員会(遠山敦子文部科学大臣)>
中期目標期間の終了時における検討結果につきましては、まず各国立大学法人においてこれをしっかりと受け止めて、次期中期目標期間における大学運営に責任を持って反映させることが大前提となっているところであります。
<平成15年5月29日参議院文教科学委員会(遠藤純一郎高等教育局長)>
基本的には、評価結果を反映させた次期中期目標、中期計画が策定され、その内容に応じてその業務の確実な実施を担保するための所要の予算措置を講ずるということになるものと考えております。
このことは、国立大学法人評価委員会の実施要領にも明示されていた。
○国立大学法人評価委員会決定「国立大学法人及び大学共同利用機関法人の中期目標期間の業務実績評価に係る実施要領」2007年4月6日(文部科学省サイト、再掲)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/kokuritu/sonota/07042601.pdf
「各法人が自主的に行う組織及び業務全般にわたる検討」(1頁、3頁、4頁、10頁)
「中期目標期間評価のスケジュール案」(6頁)でも、評価結果の確定から中期目標の原案策定までの間、文部科学省は一切関与しないことになっている。
2-2-2 文部科学大臣が「組織及び業務全般の見直し」の内容を決めてしまった
○文部科学大臣決定「国立大学法人の組織及び業務全般の見直しについて」2009年6月5日(総務省サイト)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000019657.pdf
2-2-3 評価結果も確定しないうちから、「組織及び業務全般の見直し」の指示が下っていた
○文部科学省高等教育局国立大学法人支援課長「『国立大学法人の組織及び業務全般の見直しに関する視点』について」2009年2月5日(全大教サイト)
http://www.zendaikyo.or.jp/siryou/2009/090205-monka-minaosi.pdf
スケジュール表(7頁)
2-2-4 財務省の差し金だった
○財政制度等審議会「平成21年度予算編成の基本的考え方について」2008年6月3日(財務省サイト)
http://www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/siryou/zaiseia/zaiseia200603/zaiseia20003_01.pdf
国立大学法人については、国際的に競争力のあるナショナルセンターを目指す大学から地域の教育等を担う大学まで、各機能・分野別に再編・集約化を行い、国からの助成も集中と選択をより徹底する必要がある。平成20年度(2008年度)中に行われる中期目標期間の業務実績評価において、機関別評価だけではなく、各大学の学部・研究科ごとの水準と達成度の相対評価が明確になるよう厳格に実施・公表すべきである。平成22年度(2010年度)以降の第2期中期目標・計画期間における国立大学運営費交付金の配分ルールについては、これらを念頭に、大学の成果や実績、競争原理に基づく配分が確実に行われるよう見直すべきである。(37頁)
文科省はあわてて諮問、山のようなワーキンググループをつくったが、議事録・配付資料等、まったくといっていいほど公開されていない
○文部科学大臣「中長期的な大学教育の在り方について(諮問)」2008年9月11日(文部科学省サイト)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/08091607.htm
○中央教育審議会大学分科会「『中長期的な大学教育の在り方について』に係る大学分科会の審議経過について」(文部科学省サイト)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/houkoku/1263443.htm
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/index.htm
(以下、つづく)