ロンドンで金、福島大が陸上トップアスリート養成 『読売新聞』2010年4月15日付

『読売新聞』2010年4月15日付

ロンドンで金、福島大が陸上トップアスリート養成

目指せ、2012年ロンドン五輪のメダル――。福島大学は14日、今年度から4年間、スポーツ科学・医学やロボット工学などを駆使し、陸上競技のトップアスリートを養成するプロジェクトを始めると発表した。

陸上競技部のトップ選手の動作や反応を分析し、得られたデータを他の部員にも生かして競技力の飛躍的向上を図るという構想だ。また、選手養成のノウハウは県内の高校などにも提供し、地域貢献にも力を注ぐという。

同大の陸上競技部は現在計65人(男32人、女33人)。特に女子は全国的にも強豪で、2008年の北京五輪では現役・OGの5人の代表選手を輩出。次のロンドン五輪では「メダルを狙い、部全体の底上げも図ろう」と、1年前から今回のプロジェクトについて検討してきた。同大によると、陸上競技の指導の現場では、経験や勘に頼っているのが現状だが、選手が短距離に適しているのか、長距離なのかはDNAなどで把握でき、遺伝的にも適した練習法は選手ごとに全く異なるため、スポーツ科学・医学を生かすべきとの声が出ていた。

プロジェクトでは、ロボット工学や生体工学などを活用し、トップ選手の動作や発汗などの生理現象を調べる計測法を開発するとともに、監督やコーチの指導ノウハウも科学的に分析する。例えば、指導内容に沿ってスピードがどう変化するかや、手の振り方や体の傾け方などを詳細に調べる。これにより、医学・科学的根拠に基づいた新たな指導法が確立し、選手は自分に合ったきめ細かな指導を受けられるようになるという。

川本和久監督(人間発達文化学類教授)をはじめ様々な分野の教授らでチームを結成。国立スポーツ科学センターなど国内外の機関とも連携する。研究成果は、県内の小中高にも提供し、若年層の身体能力向上を図る方針。4年間の総事業費は2億5000万円で、うち約2億円は文部科学省から補助金を受ける。

チームリーダーの高橋隆行副学長(ロボット工学)は「県民の健康増進や予防医療にも役立つ。計測技術の開発により、地域産業の振興にもつながる」と話している。

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