山形大医学部に寄付講座を開設 県が新年度、医師不足対策を強化 『山形新聞』2010年3月1日付

『山形新聞』2010年3月1日付

山形大医学部に寄付講座を開設 県が新年度、医師不足対策を強化

深刻な医師不足対策として県は新年度、山形大医学部に寄付講座「地域医療システム学講座(仮称)」の開設に向け、準備を進めている。医師の県内定着を図る仕組みづくりなどを研究してもらう。新たに拡充する医学生向けの奨学金制度と併せ、大学と連携した取り組みを強化する。

県によると、講座の主な研究テーマは「医師が循環するシステム構築」。都市部に対し、地方に医師を引きつけるには、日進月歩で進歩する医療・医学の技術や知識を身に付け、キャリアアップできる環境の整備が重要という。医師の配置に当たり、地域医療の現場と、高度医療を学ぶ医学部とを「循環」して勤務できるようなプログラムを研究、提示してもらう。

産婦人科や小児科、救急など、医師不足がとりわけ指摘される特定診療科への対応も重要テーマの一つ。これら診療科の専門医を養成するため、山大医学部が設けている専修コースの成果検証などを進めてもらう。

教員の給与などの運営費を県が寄付する形で、新年度は約6000万円。また、医学生を対象にした修学資金の貸与制度も改善し、5~6年生や後期研修医向けに、県内での勤務義務の期間を短縮したプランを新設する。ほかに、所得要件を廃止し、貸与額もアップする。いずれも開会中の県議会2月定例会に提案中で、これらを新年度の医師確保対策費は2億8900万円。

地域医療に関する自治体の寄付講座は、医師不足と医学部の定員増を背景に近年、設置の動きが広がっている。「医師確保に、ありとあらゆる手を打たなくてはならない」という県は「医師のキャリア形成も大事にするという山形県の理念を示し、医学部と連携して成果につなげたい」と期待を寄せている。

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