高度医療で地域貢献を 浜松医大病院の新病棟が完成 『中日新聞』静岡版2009年11月21日付

『中日新聞』静岡版2009年11月21日付

高度医療で地域貢献を 浜松医大病院の新病棟が完成

浜松医科大医学部付属病院(浜松市東区)で20日に竣工(しゅんこう)記念式典があり、来年1月から稼働する新病棟。祝賀会で中村達病院長は「開院32年。難病の駆け込み寺となれるよう、高度医療で地域に貢献できる病院にしたい」と意気込んだ。

新病棟は地下1階、地上8階建て、延べ床面積約3万平方メートルの鉄筋コンクリート造。50年先を見据えた病院をテーマに、災害に強い、高度先進医療の提供、患者アメニティーの充実、地域医療の中核としての役割-など7項目を主眼にした。事業費は約120億円。

手術室11室の患者情報を電子システムで共有化し、白石義人手術部長は「医師不足の折、何かあれば他の医師もすぐ駆けつけることができ、安全性が高まる」と強調。個室を増やして面積を広げ、VIP室もつくった。

現病院棟から病棟部分を新病棟に移した後、外来棟部分は来年度から改修工事が始まる。 (石川才子)

寺尾学長「選択と集中で少ない医師生かせ」

新病棟が完成し、地域医療の中核として、ますます力が期待される浜松医科大。寺尾俊彦学長に、地域医療について聞いた。 (聞き手・石川才子)

-県内でも地域医療が疲弊している

かつては各地域にミニ総合病院があり、そこで医療が完結する施設完結型だった。医療が進歩し、一施設だけでやれる医療が減り、地域完結型に移行した。しかし、ミニ総合病院は存続し続け、各病院の医師は増えず、アンバランスが起きた。市町村合併はやったが、病院合併は手つかずだった結果。

-解決策はあるのか

地域医療を守るには、高度な救急医療体制の維持が必要。選択と集中で少ない医師を生かすことだ。まずは、日常の医療と高度な医療のすみ分け。これには病院と診療所間、そして地域を超えた病院間の連携が必要。ミニ総合病院の合併も選択肢であり、袋井と掛川の両市民病院の統合はモデルだと思う。

-県内唯一の医師養成大学として

浜松医大を卒業し、県内の医療機関に就職する医師は50%だが、この数字は全国では多い。人口10万人あたりの医師数も全国で4番目に少ないが、人口密度の違いがあり、単純に比較できない。来年度の各県の研修医数が、その県の医大の入学定員をどれだけ上回るか計算すると、静岡は全国でトップ5。本年度から、大学で地域医療を志す医師の養成プログラムを始めた。卒業生や研修医を根付かせ、県内完結型の医療を目指したい。

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