松川事件資料室存続へ 福島大、研究員と契約更新 『河北新報』2009年10月18日付

『河北新報』2009年10月18日付

松川事件資料室存続へ 福島大、研究員と契約更新

福島市松川で1949年に列車の転覆で3人が死亡し、死刑などを言い渡された被告20人がその後、全員無罪となった松川事件の裁判記録などを所蔵する福島大「松川資料室」の存続問題で、大学は17日までに、担当する研究員との契約を更新し、現状のまま存続させる方針を固めた。

松川資料室は88年に開設され、冤罪(えんざい)事件の研究拠点として高く評価されている。福島大名誉教授の伊部正之さん(67)が研究員として、資料の収集・管理を担っていた。

伊部さんの任期は来年3月で切れるが、後任の確保が難しいことから、大学は任期3年で契約を更新する。2年以内に後継者を見つけ、伊部さんには指導に当たってもらう方針だという。

福島大は、元被告や支援者らでつくる福島県松川運動記念会と資料室に関する協力協定を結び、運営などについて定期的に話し合ってきた。記念会は大学の厳しい財政事情を踏まえ、基金設立も検討している。

福島大では17日、松川事件60周年記念全国集会が開かれ、全国から約1200人が参加した。福島大の今野順夫学長は「裁判員制度が始まり、冤罪事件に関心が高まる中、松川資料室を後世に引き継いでいきたい」とあいさつ。伊部さんや松川事件で主任弁護人を務めた大塚一男弁護士が講演し、事件を原点から振り返った。

Proudly powered by WordPress   Premium Style Theme by www.gopiplus.com