補正予算削減 事業精査し無駄をなくせ 『琉球新報』社説 2009年10月8日付

『琉球新報』社説 2009年10月8日付

補正予算削減 事業精査し無駄をなくせ

連立政権が6日まとめた本年度補正予算の見直しは公共事業を中心に2兆5169億円を執行停止とし、さらに削減を進める方針だ。沖縄関係では沖縄科学技術大学院大学の整備促進費31億円が執行停止となり、波紋を広げている。

大学院大学設置は沖縄振興を担う事業として県を挙げて取り組み、財政支援の関連法も国会で、民主党ほかの全会一致で成立したばかりだ。補正予算の執行停止の理由、来年度予算の対応を問いただしたい。

鳩山政権の補正予算見直しは、「子ども手当」などの公約政策を来年度から実施する財源を捻出(ねんしゅつ)するため、予算の無駄遣いを徹底削減する―というものだ。

国家財政が窮迫する中で補正予算から来年度予算へと、不要不急、効果の乏しい事業を徹底的に除外する基本姿勢に異論はない。

ただし無駄、不要な事業予算停止の判断は事業内容を精査し、担当省庁や地方との念入りな調整が必要だ。

執行停止となる省庁別の最大は国土交通省の約8875億円。その中で高速道路の車線拡幅事業3255億円が凍結となった。

同事業は国交省が、衆院選挙の投票日直前に高速道各社へ事業許可を出し、整備方法を問題視する民主党議員が「国民無視」と批判していた。車線拡幅の必要性や緊急性、手続きの妥当性を厳しく検証し、来年度以降の事業継続や予算措置を判断してもらいたい。

大学院大学の補正予算停止は来年度予算への付け替えとなるのか、政権の対応を注視したい。

むしろこの際、国会でも論議となった先端的な科学技術拠点の沖縄への立地の根拠や、それが沖縄振興にどう結び付くのかなど、ハコ物づくりに終わらせないための検証と議論を深めてほしい。

今回の補正予算停止は公約の財源確保が主目的で、直ちに事業の必要性を否定せず、来年度以降への予算先送りが多いとされる。

ただ、年度内の予算支出削減による景気抑制を懸念する声もある。政府は緊急雇用を軸に追加景気対策も検討しており、いっそう効果的な予算運営が求められる。

全体的な目配りの中で政権の公約政策をも金科玉条とせず、場合によっては公約事業の見直しや修正など、国民の立場に立った柔軟な対応が必要だ。

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