進学重点校に11高、東大と新教材開発…埼玉 『読売新聞』2010年4月12日付

『読売新聞』2010年4月12日付

進学重点校に11高、東大と新教材開発…埼玉

埼玉の高校生の学力は全国比較で見劣りすると言われ、授業改善が課題になっている。そこで、県教育局は今年度、新たな学力向上対策に乗り出した。

難関大学への進学希望者が多い県立高を対象に「進学指導重点推進校」の制度を設け、11校を指定。さらに、県立高生全体の学力底上げに向け、東京大学と連携し、新教材の開発などに取り組む。

重点校は、申請を基に選ばれた浦和、浦和一女、大宮、浦和西、春日部、不動岡、越谷北、川越、川越女子、熊谷、熊谷女子。指定期間は3年で、授業改善や補習授業に取り組むほか、重点校同士で授業見学や、進学補習・合宿の合同開催なども行う。県は、教員の授業見学や学校への講師派遣などの経費を支援し、11校に成果を公開させる。

東大とは、国語、数学、英語3教科について、生徒の学習意欲を引き出す「埼玉版教材」や、授業改善の先頭に立てる教員を養成するプログラムの開発にあたる。東大との連携には、大学での最新の教育理論を取り入れる狙いがある。教材と教員養成プログラムは今年度中につくり、2012年度から実践に入りたい考えだ。

大手予備校の調べによると、埼玉は難関大合格に必要なセンター試験での高得点者の割合が、47都道府県で最下位に近い状況にあるとされる。教育局は、県内高校生の学力低下には、画一的で単調な授業といった「教える側」の問題も大きいと見ている。

重点校の指定による進学指導の強化や、教材や教員養成の見直しには、学校側に意識改革を促すことへの期待がある。教育局幹部は「生徒に知識を詰め込めばいいわけではなく、必要なのはいかに学びのインセンティブ(意欲刺激)を高めるかということにある」と話している。

浦和西では年2000時間自習

重点校に指定された高校は既に、指導態勢の強化に着手している。

浦和西(さいたま市浦和区)は3月、難関大志望の生徒を集めて「浦西難関大倶楽部」を発足させた。参加生徒は新2、3年生の86人。

校内の自習室を午前7時半から午後7時半まで開放し、年2000時間を目標に自習にあたらせる。教員が時間数をチェックし、不十分な生徒は退会させる方針だ。数学などの基礎学力の定着度を確認するための試験なども行う。大手予備校からの講師派遣も模索しており、3月の発足式には駿台予備校大宮校の田口浩一校舎長を招き、難関大に合格する勉強のポイントなどを指導してもらった。

同校はここ数年、進学指導改革を進め、独自の基礎問題集「西高スタンダード」を授業で使ったり、4月に新1年生の勉強合宿を企画したりしている。しかし、入学時に難関大合格の学力があった生徒が目標を徐々に下げてしまう課題も抱えていた。田部井功校長は「自分でやろうとする意志の強さがないと、学校が何を提供しても効果がない」と、生徒のやる気に期待している。

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