福島大:「松川資料室」存続へ 管理・研究、伊部名誉教授に依頼
戦後間もない冤罪(えんざい)事件として知られる松川事件の「松川資料室」の存続問題で、設置している福島大(福島市金谷川)は4月以降も残すことを決め、常駐している伊部正之名誉教授(68)に管理と研究を依頼することを決めた。伊部教授は高齢を理由に3月で引退することを決めていたが、他に適任者が見つからず継続で落ち着いた。
福大と松川事件支援者らの「松川運動記念会」が協定を結び、当面13年3月まで存続が決まった。伊部教授は今後2年間研究を続ける約束だ。
資料室には、1949年に旧国鉄東北本線で列車が転覆した松川事件の裁判記録や元被告の手紙など10万点を超える資料がある。88年の開設以来、伊部教授が研究と資料の整理をしてきた。記念会は資料室の存続を求め、伊部教授の後任が見つからない場合、資料が傷んだり散逸したりすると指摘していた。
また、福大の教授や弁護士は福大内に「松川事件研究所」を設立。資料室を利用して、事件の背景や裁判を研究することになった。福大は「伊部教授の後を継ぐ人材が育ってほしい」と話している。【神保圭作】